17年のスパ24時間決勝前夜に発表された鈴鹿10H実施概要。発表から数ヵ月経ち、あちこちから聞こえてくる参戦の“ウワサ”。そこで11月に行なわれたマカオGPで、モータースポーツ界の重鎮、欧州メーカーのカスタマーチーム首脳に鈴鹿10Hへの感触を直撃した。
アウディスポーツのカスタマーレーシング部門を率いるクリス・ラインケはこう語る。
「鈴鹿はインターコンチネンタルGTチャレンジに大きな付加価値をもたらす、ということを真っ先に指摘したい。鈴鹿はバサースト12時間やスパ24時間、さらにはラグナセカといったトラックに匹敵する、まさにクラシカルなサーキットだ。アジアで伝統の一戦を堪能できるというのもじつに喜ばしい」
「日本の根強いモータースポーツ人気も強力な追い風となるだろう。日本ではこれまでもFIA WECなどで熱烈な支持を集めてきた。それに優るとも劣らない好レースをお届けできると思う。インターコンチネンタルGTチャレンジは歴史はそれほど古くはないが、レジェンドとスペクタクルを併せ持つすばらしいシリーズだ」
「ラグナセカもバサーストも、わずか数年の間に目覚ましい発展を遂げている。私自身、“リトル・ルマン”としての成長を目の当たりにしたひとりなんだ。だから、この鈴鹿に息づくDNAからすれば、さらなる飛躍が期待できるだろう」
「ラグナセカもバサーストも、こうした遺伝子をより活性化することが重要だと考えている。その点鈴鹿は、歴史的価値というボーナスがあるので鬼に金棒だよ」
マカオには姿を見せなかったものの、ベントレーのモータースポーツディレクター、ブライアン・ガッシュも鈴鹿のシリーズ編入を歓迎する。
「ベントレー・モータースポーツは、18年インターコンチネンタルGTチャレンジ鈴鹿10時間レースを心待ちにしている」
「前身の鈴鹿1000㎞はアジアで最も名の通ったイベントであり、当社が最近発表した新型モデル、ベントレー・コンチネンタルGT3を、ベントレーチームMスポーツとともに鈴鹿で走らせるのは、我々にとってとても誇らしいことだ」
「日本では当社のカスタマーチーム、アイカーズTTOがスーパーGTにフル参戦しており、彼らの蓄積した経験を活用できるはずだ」
「今季我々は日本のファンから大歓迎を受け、SNSやグランドスタンドでも心強い声援をもらった。わずか1シーズン走っただけでこうだから、来季以降の活躍次第でもっとサポーターを増やせると期待している」
「鈴鹿ラウンドはインターコンチネンタルGTチャレンジのシリーズ後半戦に当たるので、鈴鹿でタイトルが決まる可能性もある。来年もバサーストとスパで好結果を残せば、我々が鈴鹿でタイトル争いを繰り広げることも決して夢ではないよ」。
BMWのモータースポーツディレクター、イェンス・マルカルトは、BMWブランドでの参戦は限定的としながらも、やはり好意的だ。
「何はさておき、鈴鹿がファンタスティックなトラックで、日本のファンはすばらしいということを忘れてはならない。つい最近も我々はもてぎでデモランに参加して、その感動を新たにしたばかり」
「鈴鹿で行なわれるレースは文句なしのクラシックイベントであり、私も待ち遠しくて仕方がない。来季以降のカレンダーにまたとない妙味を加えてくれることだろう」
「耐久レースファンにとって見逃せないイベントがまたひとつ増えた、ということになるね」
ステファン・ベンデルは、メルセデスAMGカスタマーレーシング部門を代表して次のように語ってくれた。
「4つの大陸でレースを開催するというステファン・ラテルの発想は、メルセデスAMGカスタマーレーシングにとってじつに興味深い」
「それぞれの地域のカスタマーチームに国際レベルのプラットフォームを提供し、メジャーイベントとしてさらなる発展を遂げる手助けをしたい。英国では、ストラッカ・レーシングが新たにAMGファミリーの一員に加わり、ProとAmの両カテゴリーでフル参戦を果たしている」
「今年に入ってから日本の実績豊富なカスタマーチームと鈴鹿出場についても集中的な話し合いを行なっている。以前から日本に注目していて、いよいよそれを実行に移そうとしているところなんだ」
「アジアにはほかにもいいチームがいくつかあって、たとえばブランパンGTなどにも鈴鹿進出を狙っているところがあるようだね」
「何しろすばらしいトラックだし、イベントとしての魅力も充分。ドライバーなら誰でもここで走りたいと思うはずさ。知ってのとおり我々は、目下GT300クラスのディフェンディングチャンピオンという立場にある」
「BoPのおかげでタイトルを獲った翌年は概して厳しい戦いを強いられるということは経験上分かっている。だが、そこで高レベルのパフォーマンスを維持して、より上を目指すのが我々の目標だ」。
正式な参戦チームの発表は、18年3月上旬に行なわれる予定だ。