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有休取得率が低い業界1位「宿泊・飲食サービス業」 全体では微増だが「毎年使い切れなくて捨てている」と嘆きの声多数

2017年12月28日 16:11  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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厚労省が12月27日に発表した就労条件総合調査で、昨年度の有休取得率が49.4%だったことが判明した。昨年より0.7ポイント上昇してはいるが、政府が目指す、2020年の有給取得率70%達成が危ぶまれる結果となった。

有休取得率は、1年で企業が労働者に付与した有給休暇日数のうち、労働者が実際に取得できた割合を表すもの。付与日数の平均は18.2日(昨年18.1日)で、消化日数は9日(昨年8.8日)だった。

病気休暇ない企業7割 休暇はあっても給与の全額支払いをしているのは3割


業界ごとに見ると、取得率の大小に開きがあることが分かる。最も取得率が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で71.8%、2位は「複合サービス事業」の64.6%、3位は「学術研究、専門・技術サービス業」で57.6%だった。最も低かったのは「宿泊・飲食サービス業」の32.8%だが、「卸売り・小売り業」(34.9%)や「建設業」(38%)も30%台を記録していた。

ツイッターでは「有休どころか定休も取れない」「毎年使いきれなくて捨てている」など、取得できていない人から悲痛な声が上がっていた。政府が掲げる有休取得率70%の目標も、「強制的に取れるようにしないと無理でしょ」と諦観する声が多い。取得率の高い企業でも、会社から時期を指定され、自由に取得できない人もいることから、「消化率が高くなっても油断できない」との見方も出ていた。

12月初旬にエクスペディアが発表した有休取得率の国際比較調査では、日本は2年連続で世界最下位を記録していた。有給休暇取得に罪悪感を覚える人が多い上、病気休暇を導入している企業が少なく、体調不良の際に使えるよう有休を温存する人が多いためだと見られている。

今回の調査で、病気休暇を導入している企業は32.5%と判明したが、そのうち、休暇取得時に賃金を全額支払っているのが33.2%、一部支払う企業が18.8%、無給が47.7%と、半数近くが無給だった。

今年は働き方改革の一環として、勤務間インターバル制度も話題になった。同制度は終業から次の勤務開始まで11時間以上空け、休息を確保することを目的にしている。調査では同制度の検討度合も調べたが、制度を導入している企業は全体の1.4%、今後導入を検討している企業も5.1%しかなかった。導入の予定はなく、検討もしていない企業が92.9%と大半だった。