海外向けに、日本のアニメ・漫画作品の翻訳や、グッズの販売を行うTokyo Otaku Mode(本社アメリカ、以下TOM)は、アニメやゲームなどのコンテンツ業界に特化した仮想通貨「オタクコイン」での資金調達に向け、検討を始める。資金調達は2018年の春から夏頃に実施したいという希望を明らかにしているが、対象国や実施法人は未定だ。
また、これに合わせて「オタクコイン準備委員会」を設立。業界関係者や識者に加え、一般ユーザーからの意見も取り入れ、発行に役立てるという。
レビュー促して「0話切り」問題を解決 コンテンツの流通促進にも繋げる
オタクコインは、「オタク系コンテンツ」に関する様々な支払いでの利用を想定している。具体的には、アニメを視聴したり、レビューを書いたりして手に入れたコインで、アニメイベントの参加費や、物販での支払いが出来るようにする。仮想通貨は両替の必要が無いため、海外からの旅行者が日本で開かれるアニメイベントに参加する際、為替の変動やお釣りを気にせず楽しめるメリットもある。
近年は同時期に放送されるアニメ作品数が増えたことで、視聴者が放送前に見る作品を決めてしまう「0話切り」問題も生まれている。レビュー投稿にコインのインセンティブを付けることでレビュー数増加が狙えるため、TOMの担当者は「たくさんのレビューの中から自分に合った作品を見つけやすくなる。0話切り問題の解決に繋がるのではないか」との見方を示した。
また、オタクコイン準備委員会が窓口になってコインを集め、製作委員会やパイロットムービーを作成するアニメ制作会社に資金提供を行う仕組みも考えたいとしている。同担当者は、
「今までの製作委員会方式は企業中心、クラウドファンディングは一般の人中心に資金を集めていた。私たちはオタクコインでファンドのようなものを作って資金を集め、製作員会に投資していく仕組みを作ろうと思っている。委員会方式とクラウドファンディングの中間に位置するようなイメージ」
と説明する。
そもそも、今回の仮想通貨発行は「全世界にいるオタクカルチャー好きは、一種のコミュニティを形成している。このコミュニティに向けて仮想通貨を発行することで、アニメコンテンツの流通促進に繋げられるのではないか」という仮説に基づいているという。ただ、「やるかやらないかも含め、これから検討していく段階」であり、具体的な動きはまだ先になりそうだ。
委員会のアドバイザー・パートナーには『この世界の片隅に』でプロデューサーを務めた真木太郎氏や、ジャーナリストの数土直志氏が名を連ねるほか、バーチャルユーチューバー「キズナアイ」がPR親善大使を務めている。