2017年12月27日 09:42 弁護士ドットコム
京大卒で話題を集めた元千葉ロッテマリーンズの田中英祐さんが、2018年4月から三井物産に就職すると報じられ、注目を集めている。
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田中さんは、150キロ近い速球を武器に大学野球で活躍し、2014年にドラフト2位で千葉ロッテに入団。本人は不本意だったかもしれないが、「京大くん」の文字が新聞を飾った。
残念ながら今秋で引退となったが、三井物産といえば、大手総合商社。セカンドキャリアが難しいと言われるスポーツ選手にあっては異色の経歴となり、ネットでも文武両道を貫いた田中投手の将来にたくさんのエールが寄せられている。
下世話な話ではあるが、田中さんは3年間のプロ時代と合わせて、どのくらいの生涯収入が見込めるのだろうか。新井佑介税理士に聞いた。
ーープロは契約金も高額。手取りだと、田中さんの収入はどのくらいだったと考えられる?
それでは、ロッテ時代について考えていきましょう。プロ野球選手はサラリーマンと税金の計算方法が異なります。特に経費については判断が難しいため、今回はサラリーマンと同じ計算方法を前提として計算しましょう。
報道によると、田中さんのプロ野球時代の報酬は、契約金7,000万円、年棒は1年目1,500万円、2年目が1,340万円、3年目が1,005万円であったそうです。
契約金7,000万円に対しては、平均課税制度を適用して3年間で分割して受け取ったかのような計算方法を採用しましょう。すると平均課税適用後の報酬は、1年目3,834万円(2,334万+1,500万)、2年目3,673万(2,333万+1,340万円)、3年目3,338万(2,333万+1,005万)となります。
一方、経費はサラリーマンと同じ計算方法をとって、1年目245万円、2年目が230万円、3年目が220万円と考えます。これ以外に一切の控除関係等がないとした場合、所得税及び住民税は1年目1,539万円、2年目1,464万、3年目1,299万となります。
ここから、ロッテ時代の税金控除後の手取りは、3年間で6,543万円となります。もちろん、経費の使い方によって、金額は変動します。
ーー当然ながら大卒3年としては大きな金額だ。三井物産に入ったらどうなる?
同社の生涯年収は約5億円と言われています。当然、退職金も含めての金額であるため、一概に手取りを計算することは難しいのですが、45年間で毎年同じ給与でもらったと仮定しましょう。また税制も平成29年適用の税制で試算しますね(平成30年の税制改正大綱が閣議決定されていますが)。
そうすると、年収は1,111万円となりますので、所得税及び住民税が233万円、手取りは878万円です。878万円を45年間稼ぐわけですから、3億9,510万円が三井物産時代の手取りになります。
不確実性の高い時代、45年先まで見通すことの重要性はそもそも低いかと思います。文武両道を貫きプロ野球という稀有な経験をした田中さん。そのチャレンジ精神からすれば、手取りを試算すること自体つまらないものです。田中さんが日本を背負って活躍する姿が楽しみですね。
ーープロ野球の平均選手寿命は約9年。その意味では、田中さんは短い現役生活だったが、金銭面や今後の仕事を考えると、濃密な時間だったと言えるかもしれない。新ステージでの活躍をお祈りしています。
【取材協力税理士】
新井 佑介(あらい・ゆうすけ)公認会計士・税理士
AAG arai accounting group 代表。新井公認会計士事務所所長。慶応義塾大学経済学部卒業後、BIG4系ファームを経て現職。金融調整から新設法人支援、法定監査まで幅広く全力でクライアントをサポート。趣味はサーフィンとスノーボード、そして登山。好きな言葉は「変わり続ける勇気」
事務所名 : AAG Arai Accounting Group / 経営革新等支援機関 新井会計事務所
事務所URL: http://shozo-arai.tkcnf.com/pc/
(弁護士ドットコムニュース)