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星野源と藤井隆はなぜ相性が良いのか? 『逃げ恥』『ANN』共演と、2017年の活躍から検証

2017年12月27日 08:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系、以下『逃げ恥』)が再び私たちの元に帰ってくる。12月31日・1月1日に全話一挙放送されることが発表され、瞬く間に喜びの声がネット上に溢れた。賞を総嘗めし、最終回には20.8%の視聴率を記録(ビデオリサーチ調べ)、本作のエンディングソングから生まれた「恋ダンス」は社会現象を巻き起こすなど、数々の伝説を作った。本稿では、そんな『逃げ恥』で共演していた星野源と藤井隆にスポットを当て、その共通点と相性について検証したい。


参考:TBS火曜10時ドラマ、なぜ心に響く? 『逃げ恥』から『カンナさーん!』まで通じる作風


 『逃げ恥』で大ブレイクを果たした星野源は、12月12日にメインパーソナリティーを務めるラジオ『星野源のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)にて、本作で共演していた藤井隆をゲストに迎えていた。「源と隆のクリスマス! 2時間ぶっとおしカラオケパーティー2017」と題して、藤井とは2回目となるカラオケパーティー企画を行い、終始笑いが溢れる放送となった。星野と藤井の共演は、『逃げ恥』だけでなく、今年放送されギャラクシー賞5月度月間賞を受賞した星野の冠番組『おげんさんといっしょ』(NHK総合)、『真田丸』(NHK総合)など多くある。歌って踊れるシンガーであり、俳優としても活躍しているという多才さは、彼らの共通点だ。


 2016年の末、『逃げ恥』と「恋ダンス」で国民的な知名度を得た星野は、その後も勢いを増し、2017年は全10カ所20公演を巡るアリーナツアー『Continues』を精力的に行った。さらにWOWOWドラマ『プラージュ ~訳ありばかりのシェアハウス~』では主演を務め、地上波ではドラマ『コウノドリ』(TBS系)シーズン2では主要キャラのひとりである四宮春樹役を演じきった。ほかにも吉岡里帆との仲睦まじい間柄が話題の「日清のどん兵衛」のCMなど、星野らしいマルチな活動が見られた。


 中でも世間的な注目を集めたのは、『コウノドリ』の四宮役だろう。星野が演じる四宮は、笑わない人物だ。映画『箱入り息子の恋』での天雫健太郎、『逃げ恥』での津崎平匡など、星野にはいわゆる“プロの独身”といったイメージの役が多く、同時に、真顔であまり笑わない役が多い。だが、『コウノドリ』の四宮はそれらとは少し違い、過去に患者を亡くした後悔から、笑わなくなったという背景があった。ドラマでは、物語が後半に進むにつれて、徐々に心を取り戻していく過程を丁寧に演じていた。特に印象的だったのが、石川県能登に異動することを決め、サクラ(綾野剛)に別れを告げるシーン。四宮の覚悟と希望を見据えた真っ直ぐな表情は、言葉以上のメッセージを伝えていた。


 一方の藤井は、『逃げ恥』で家庭第一の常識的なパパ・日野秀司を演じていた。今年、俳優としての活躍が目立ったのは、現在放送中の連続テレビ小説『わろてんか』(NHK総合)の万丈目吉蔵役だろう。藤井のお笑い芸人としての芸風も少なからず影響しているのか、日野と同じように万丈目もテンションが高いところがある人物だ。「明るくて、家族思い」というのが、藤井の役者としてのイメージであり、武器といえるだろう。そうした要素に加え、『わろてんか』で演じている万丈目はお笑い芸人であり、藤井の本職そのままの役柄だ。まさに適役というほかない。


 さて、『逃げ恥』での2人の関係性を振り返ると、平匡と日野が遊びの予定を立てると、家庭を優先されていつも断られてしまうという微笑ましい間柄だった。これは、お互いに共通点が多いものの、“プロの独身”と“家族思い”などといった正反対のイメージを持つ二人ならではのやり取りだったといえるだろう。共通点が多くありながら、イメージやスタンスが異なるーーそんな二人の相性はきっと“サイズの合ったネジとドライバー”のように、ぴったりとハマるものであることは想像に難くない。そして、その関係性はおそらく、リアルにも通じるはずだ。


 実際、星野と藤井の仲の良さは、ラジオ放送などでも感じることができる。多忙を極める二人ではあるが、さらなる共演で、その息のあったやり取りを見せて欲しいものである。


(渡辺彰浩)