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年末企画:加藤よしきの「2017年 年間ベスト映画TOP10」 色々と語りたい映画が多い1年

2017年12月26日 19:02  リアルサウンド

リアルサウンド

『イップ・マン 継承』(c)2015 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved.

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2017年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに加え、今年輝いた俳優たちも紹介。映画の場合は2017年に日本で劇場公開された(Netflixオリジナル映画は含む)洋邦の作品から、執筆者が独自の観点で10本をセレクト。第12回の選者は、アクション映画への造詣が深いライターの加藤よしき。(編集部)


参考:『ドラゴン×マッハ!』を大傑作と呼ぶべき理由 人間ドラマとしての側面から読み解く


1. 『イップ・マン 継承』
2. 『ドラゴン×マッハ!』
3. 『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』
4. 『哭声/コクソン』
5. 『マイティ・ソー バトルロイヤル』
6. 『キングコング:髑髏島の巨神』
7. 『アシュラ』
8. 『パトリオット・デイ』
9. 『ハクソー・リッジ』
10. 『ザ・コンサルタント』


 今年は色々と語りたい映画が多いのですが、まず特筆すべきは『ザ・コンサルタント』。最初から最後まで「?」が頭から消えない映画でしたが、その「?」が何とも心地よく、ある人物が頭を撃ち抜かれた瞬間、暖かい笑いが劇場を包みました。あの暖かい笑い声は一生忘れないでしょう。


 続いて『ハクソー・リッジ』『パトリオット・デイ』の傑作実録モノ2本。『ハクソー・リッジ』の「うぎゃー!」から始まる地獄のような戦場描写は最高でした。そして『パトリオット・デイ』! これ、物凄い緊張感のアクション・サスペンスの傑作です。銃撃戦もさることながら、精神的なマウントの取り合いも凄まじくスリリング。政治的な部分の是非は分かれると思いますが、とにかく面白かったです。


 7位は韓国からやってきたド外道映画『アシュラ』。私の2017年ベスト悪役は本作の極悪市長(ファン・ジョンミン)です(『ライフ』のカルビンくんと僅差)。巧みな人心掌握術と異様なメンタルの強さには震えるばかり。私の大好きな「もう殺すしかない悪役」を体現した存在でしたね。


 理想の悪役の次は、理想の怪獣です。『キングコング:髑髏島の巨神』はまさに私の見たい怪獣映画でした。キングコングが画面に映っている間は基本的に何かと戦っているという構成は英断だったと思います。今年は『猿の惑星:聖戦記』もありましたし、こんなに猿映画が充実する年は、もう二度とないかもしれません。


 そんな猿映画に負けず劣らず盛り上がったのがアメコミ映画。中でも一番ハマったのが『マイティ・ソー バトルロイヤル』です。ギャグとシリアスのサジ加減が絶妙で、ずっとこの世界に浸っていたいと思いました。


 続けて4位は地獄映画『哭声/コクソン』。長くなるので詳細は割愛しますが、とにかく言えることは、何を食ったらこんな話を思いつくんだということ。脱帽です。


 ……さて、いよいよベスト3ですが、今年は全てアジアのアクション映画になりました。


 まずは『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』。とにかく出てくる人が全員カッコいいし、名勝負に次ぐ名勝負で、見ている間はずっと笑顔。「要!」も「Break into the Dark」もティンティンティンティンも頭から離れません。あと岩ちゃんさんが前蹴りを放つラストシーンに感銘を受け、会社を辞めたという点も大きいですね。ある意味で人生を変えた映画です。


 2位は香港映画『ドラゴン×マッハ!』。久しぶりに「こんな強いヤツどうやって倒すんだよ!」と思える強キャラを見れて大いに満足です。マックス・チャンがトニー・ジャーの必殺ムーブを全部防ぐシーンなど、思わず息を飲みました。このラストバトルを超える格闘シーンは、あと数年は出てこないと思います。


 そして1位は現代中国の『空手バカ一代』こと『イップ・マン 継承』。私が一番スゲェなと思ったのは、「不動産屋のマイク・タイソンと戦う」という滅茶苦茶な話と、非常にウェットな夫婦愛の話を同時に描く離れ業に成功している点です。ドニー・イェンが哀しく木人を叩くシーンは本年度のベストシーン。個人的にはシリーズで一番気に入っています。


 そんなわけで今年も色々ありましたが、面白い映画にたくさん出会えてよかったです。来年も楽しんでいきます。(加藤よしき)