トップへ

シャープが全従業員に現金とクーポン券「感謝のしるし」配布、税金はどうなる?

2017年12月26日 10:32  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

シャープが12月14日、国内で働く約2万人の全従業員に「3万円」を支給したと報道された。時事通信などの報道によれば、東証一部に復帰したことへの感謝で、「感謝のしるし」と記された封筒には、現金2万円と、自社が運営するインターネット通販サイトで使えるクーポン券1万円分が入っていた。


【関連記事:接待でデリヘルを利用、領収書が「架空の店名」だった! 経費で落とせるのか?】


シャープだけでなく、従業員への臨時ボーナスとして「大入り袋」を支給する日本の企業は珍しくない。会社の売上目標を達成したので、社員全員に現金1万円の「大入り袋」を配りたいが、どう税務処理をしたらいいかわからないーー。そんなうらやましい相談も、税理士ドットコムの税務相談コーナーに寄せられている。


「大入り袋」の税金は、どのように処理されるのか。現金の場合と、自社サイトのクーポン券で支給する場合とでは、違いがあるのか。内山瑛税理士に聞いた。


●クーポン券は「福利厚生」非課税に

現金で支給する場合の取り扱いは?


「事業主が恩恵的に支給する『結婚祝金』や、臨時的に支給する『大入り袋』は、その支給態様によっては、社会保険料の徴収対象とならないことがあります。社会保険料の徴収対象となるかどうかという点については、簡単に判断できません。


ただ、会社として支給するのであれば、税務上は、給与・賞与の額に算入せず、源泉所得税の対象としないという処理は難しいでしょう」


では、どう処理すればよいのか。


「賞与として支給したことにして、年末調整で、最終調整を行うのが一般的でしょう。明細は翌月給与と同時に渡します。1万円程度であれば、源泉所得税はゼロになります。


他に、翌月給与の前払と位置づけることもできますが、翌月の給与の総額が増えることになりますので、源泉徴収額も増加してしまいます。ややこしくなってしまいますから、賞与としての支給の処理をお勧めします」


今回のシャープのように、自社のインターネット通販サイトで使えるクーポン券1万円分が支払われる場合、取り扱いはどうなるのか。


「クーポン券は少額でも、税務上では経済的利益に該当する可能性が高いです。もっとも、今回のシャープと同様に、いわゆる『社員価格』といわれる従業員向けに一般より割引して販売するものは、一定の範囲内では、福利厚生として非課税となります。


ただ、給与の支払いは原則現金です。クーポン券等の現物支給は、税務上だけではなく、労働協約の検討が必要など、労務上の問題が生じる可能性があります」



【取材協力税理士】


内山 瑛 (うちやま・あきら)税理士


私たちは「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様の総合的なサポートをさせていただいております。 「親身に」「誠実に」「迅速に」対応することが会計事務所の責務であるとの信念のもと、お客様の利益のため、精一杯貢献させていただきます。


事務所名   :内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所


事務所URL:http://www.uchi-zeirishi.com


(弁護士ドットコムニュース)