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F1ステアリングのトリックシステムが禁止へ。車高変化でグリップ向上を狙う

2017年12月25日 17:11  AUTOSPORT web

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2017年レッドブルRB13のフロントサスペンション
FIAは、2018年に向けて、F1チームがステアリングの動きによって空力的メリットを得るシステムを使用することを禁じるとの意向を示した。

 FIAレースディレクターのチャーリー・ホワイティングは、2017年シーズン、一部F1チームにおいて、ステアリングとサスペンションの動きによって、コーナリング時にマシンフロント部の車高を低くするようなシステムが存在し、それによって空力的なメリットを得てグリップを高めようという意図があったと考えている。ホワイティングは全チームに対して技術指示書を発行し、こういったシステムは違法であると明言、2018年型マシンにおいてこのシステムを使用していないことを示す証拠を提出するよう求めた。

 この問題については、最近のFIAテクニカルレギュレーションミーティングにおいて協議が行われ、チームがそれぞれ、こういったシステムによって得られる空力上のメリットについて、さまざまな意見を述べたという。

 レッドブルはこのシステムを開発する自由を主張したが、フェラーリは制限を厳格化するよう求めたといわれている。

 協議の結果、FIAは2018年に向けてサスペンションデザインに関する技術指導書を全チームに送った。


「シーズン中に、一部チームがマシンフロント部の車高を変えるためのサスペンションおよびステアリングシステムを設計していることが分かった」とホワイティングによる指導書には記されている。

「ステアリングホイールがロック・トゥ・ロックに動く際にある程度の変化があるのは避けられない。しかし一部システムが及ぼす影響は偶発的な変化とは程遠い」

「偶発的でない車高の変化がマシンの空力的パフォーマンスに影響をおよぼす可能性は非常に高いと我々は確信している」

 ホワイティングは彼の主張の裏付けとして、FIA国際控訴裁判所(ICA)が24年前に下した判決を引用した。その判決には「マシンの空力的特徴を変える目的で、ドライバーの動きを利用するマシンシステム、デバイス、手順はいかなるものであっても禁じる」と記されていた。

「そういったステアリングシステムはサスペンションシステムと同様に扱うべきであり、テクニカルレギュレーション第3.8条を順守しているかどうかを評価するとき、1993年にICAが発表した裁定を適用するべきであると、我々は考える」とホワイティング。

「従って、ステアリングホイールがロック・トゥ・ロックで動く際にフロントの車高が動く場合はすべて、完全に偶発的でなければならない」


 さらに、FIAは、各チームはこの新しい指導書に従って新車をデザインしなければならないと通達し、FIAの意向に沿っていることを示す証拠を提出するよう求めた。

「我々は、マシンフロント部の車高にステアリングがどのような影響を与えるか、関連書類をすべて提出するよう、依頼する。いかなる影響も偶発的なものであると納得するには、ステアリングホイールがロック・トゥ・ロックに動くときの車高の変化は5.0mm以下であるべきだと我々は確信している」

 プレシーズンテスト初日まで約2カ月の時点でこのような指示を受けたことで、チームの新車開発に影響がおよぶ可能性がある。

 しかしこの規定を守っているかどうかを監視するのは非常に難しいとみられており、チームによってはFIAが今回行った指示を無視することもあり得るとの見方もある。