メルセデスF1チームのトップであるトト・ウォルフは、セバスチャン・ベッテルはその激しい気性ゆえに2017年シーズンのタイトル争いから脱落したのだと考えている。
ベッテルは冷静な外見とは裏腹に、周囲の人々が思うよりも大いなる感情と情熱を秘めているのだとウォルフは言う。彼はBBC 5 LiveのF1レビューショーにおいて、以下のように語った。
「過去にはそのおかげでチャンピオンを獲得したこともある。今年はそのせいで調子を崩すことになった」
アゼルバイジャンGPでベッテルが故意にルイス・ハミルトンのマシンに接触した件が、その実例だとウォルフは指摘する。
「あの瞬間のセバスチャンは、感情や怒りに駆り立てられていた。もし時間を巻き戻せるとしたら、同じことは繰り返さないと、本人が真っ先に気づいているはずだ」
当時、ベッテルはセーフティカーの後ろにいたハミルトンがリスタート前に“ブレーキテスト”を仕掛けたと考えていた。しかしマシンのテレメトリーが、実際にはそうでなかったことを証明している。
「ブレーキテストのようなものがあったかどうかを調べるため、我々はすぐにデータを見た。そういったデータは見られなかった」とウォルフは言う。
ウォルフはまた、シンガポールGPスタート直後に3台を巻き込んだクラッシュも、ベッテルの短気さが原因であったと話している。マックス・フェルスタッペンのターン1でのオーバーテイクを阻もうとしたベッテルは、チームメイトのキミ・ライコネンと接触した。
ベッテルの軽率な行動に比べると、ハミルトンはこれまでのどのシーズンよりも上手くドライビングをしていたとウォルフは言う。
「ドライバーとしても、そうでないときも、ルイスは人格の部分が成長した。それが彼を非常に強くしたんだ」
2018年シーズンもドライバーズとコンストラクターズの両選手権制覇を狙うのであれば、そうしたアドバンテージがメルセデスには必要だ。
「レギュレーションが変わらない期間が長ければ、それだけ他のチームも近づいてくる。(2017年も)かなりの接戦になったレースが数多くあったと思っている。レッドブルとフェラーリとは、来シーズンはもっと厳しい戦いになるだろう」
チームは来季に向けて、マシンの“気難しさ”を取り除くべく懸命に作業にあたってきたという。
「とはいえ、どのマシンにもDNAのようなものがある。21のサーキットすべてで強いマシンがほしいとも思わないし、持てるとも思っていない。しかし、ほとんどのサーキットで強さを発揮できるマシンでなくてはならない」