日本では当たり前になっている年中無休・24時間営業。しかしフランスでは、日曜日に営業している店は一部のみ。しかも日曜営業をする店の中には、社員に平日の2倍の報酬を支払っているところもあるという。12月22日、「NEWS23」(TBS)で紹介され、話題になっている。
番組によると、フランスではこれまで原則として日曜日に営業することができなかった。日曜日を安息日とするキリスト教の伝統に則り、法律で規制してきたからだ。
「労働者に利益があったとしても、結局はビジネスの競争原理の犠牲者になってしまう」」
しかし、2年前にパリやニースなどの観光地で小売店の日曜営業が解禁になった。パリの百貨店は、今年から本格的に日曜営業を始め、日曜に出勤した社員には平日の2倍の報酬を支払うことで従業員組合と合意した。もちろん代休も取得できる。
パリ市民の中には、「日曜日に買い物できるのはとても便利」「経済にとってとてもいいこと」と歓迎している人もいたが、こうした考え方がフランスで一般的なわけではない。
フランス北西部の都市、レンヌではまだ規制が厳しく、行政が指定した年間計3日間しか日曜に営業することができない。経営者の中には規制緩和を求める人もいるが、行政側は、「日曜日は家族と過ごしたり、地域活動に参加したりして、フランス社会の基礎を作る特別な日」だとして反対している。またレンヌ地域評議会の議長は、
「たとえ労働者に利益があったとしても、結局はビジネスの競争原理の犠牲者になってしまう」
と話す。レンヌの住民も、
「日曜日に働くのは反対です。休養が必要だ」
「日曜日に店を開けてもっと働くようにするなんて社会的な後退です」
と反対していた。日曜営業に肯定的な人はまだフランスでは一部なようだ。
そうしたこともあり、フランスは日本よりも労働時間が短い。OECDによると、年間の総実労働時間は日本1713時間なのに対して、フランス1472時間となっている。しかし、フランスと日本の1人当たりGDPに大差はない。日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2017年版」によると、日本は41534ドルで、フランスは41490ドルとなっている。
マレーシアでも休日は賃金が2倍以上、祝日には4.5倍以上
番組が放送されると、ネットには「さすがフランス」「平日の2倍報酬で代休が出る…なんて羨ましい」といった声が相次いでいた。日曜に営業している店が少ないと少し不便かもしれないが、やはり日曜は休みたい。もし働く場合には、報酬が平日の2倍になるというのも羨ましい。
「先進国じゃなくて東南アジアですら日曜出勤は2倍」という指摘もあった。例えばマレーシアでは、祝日以外の休日に8時間以上働くと通常の賃金の2倍以上、祝日に8時間以上働くと通常の4.5倍以上の割増賃金が支払われるという。
日本でも働きすぎを防ぐため、営業時間の短縮や賃金の割増率の上昇が必要なのかもしれない。