2017年12月25日 10:22 弁護士ドットコム
年末が近づくと、日々の掃除よりも気合いを入れた掃除をしなければ、という気持ちになります。自宅で大掃除をする人も多いと思いますが、実は、会社も法律で大掃除が義務付けられているのをご存知でしょうか。しかも、年末だけでなく半年に1度、通常の掃除とは異なる大掃除の実施が求められています。
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一体、どのような法令なのでしょうか?
大掃除を義務付けている法令は、「労働安全衛生規則」(省令)の第619条の次の部分にあたります。
「事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない」「一 日常行う清掃のほか、大掃除を、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うこと」「二 ねずみ、昆虫等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ、昆虫等による被害の状況について、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ、昆虫等の発生を防止するため必要な措置を講ずること」
労働安全衛生規則の大元となる労働安全衛生法(法律)は、労働者の安全と衛生について定めたもので、「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的」(法第1条)として設置されました。
ちなみに、企業だけではなく、労働者側にも「作業場の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所以外の場所にすてないようにしなければならない」(規則第620条)とあり、職場を清潔に保たなければいけません。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)でも、第5条に以下のような部分があります。
「土地又は建物の占有者(占有者がない場合には、管理者とする。以下同じ。)は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない」「建物の占有者は、建物内を全般にわたって清潔にするため、市町村長が定める計画に従い、大掃除を実施しなければならない」
多くの人たちが使っている場所や建物も、きちんと清掃が定められています。自宅だけ大掃除すればいいや、ということではなさそうです。濵門俊也弁護士は次のように話しています。
「『大掃除』について、法律等に決まり事があることに驚かれた方もいらっしゃると思います。また、『大掃除』といえば年末の風物詩のようなものですが、法律等の要求からすると年末1回の大掃除だけでは足りないことも驚きでしょう。今年の汚れは今年の内に清めたうえで、新年を迎えましょう」
【監修】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
所在エリア:東京中央区
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:http://www.hamakado-law.jp/
(弁護士ドットコムニュース)