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乃木坂46、一つの“絶頂”を迎えた2017年 移ろいゆくグループの足跡を辿る

2017年12月24日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 年末の音楽特番の一つ『ミュージックステーション スーパーライブ』(テレビ朝日系)が放送を終え、いよいよ残るは『CDTVスペシャル!クリスマス音楽祭2017』(TBS系)、『日本レコード大賞』(TBS系)、大晦日の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)といったところ。乃木坂46はこれまでの特番で、2017年のグループを代表する楽曲へと成長した「インフルエンサー」を度々披露した。初の東京ドーム公演、舞台と映画による『あさひなぐ』プロジェクト、白石麻衣の写真集『パスポート』大ヒットをはじめとしたメンバー個々の躍進、シングル『逃げ水』でダブルセンターに選ばれた3期生・大園桃子、与田祐希という次世代。アイドルシーンにとどまらず、芸能界における巨大な存在へと変貌を遂げていった乃木坂46だが、その笑顔と成功の裏には、涙とバトンを受け継いでいった者がいたことを忘れてはならない。


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 ちょうど1年前の今頃、2月20日の卒業コンサートの準備を始めていたのが、橋本奈々未だった。準備というのは、ファンと歩んできた5年半を最高の思い出として終わらすこと。彼女は限りある場所で、“橋本奈々未がいた2017年”を言葉や写真に収めている。写真集『2017』もその一つだ。ファン向けに送られたメッセージの中に、彼女は「絶頂」という言葉に、グループと自身の未来を託した。山の頂上、いただき。先日開催された初の東京ドーム公演の本編最後に、高く高く組まれた舞台セットの坂を登り、ずらっと並んだメンバーが会場を望む場面で、筆者はふとその「絶頂」という言葉が霞んで見えた。「サヨナラの意味」のセンターが齋藤飛鳥へと受け継がれ(『CDTV春スペシャル』で一度だけ披露)、「でこぴん」など初期からのユニットがメンバーを変えていることや、白石とのシンメが別のメンバーにチェンジしていることからも、“移ろい行く乃木坂46”を感じた2017年でもある。


 東京ドーム2日目のダブルアンコール「きっかけ」は、2017年いっぱいをもって乃木坂46を卒業する中元日芽香と伊藤万理華におくられた楽曲だった。中元は、アイドルに焦がれ、アイドルを全うしたメンバー。彼女の最後の更新となったブログの中で、「アイドルの一番のウリは、素のキャラクターと仕事への”姿勢”なんだと思います」と中元は綴っているが、彼女がアシスタントMCを務めた『らじらー!サンデー』(NHKラジオ第1)での放送が、みなから愛される“ひめたん”を象徴していたように思う。彼女の信頼する井上小百合へとその姿勢は受け継がれていく。


 12月23日をもって、伊藤万理華もグループを卒業した。初の個展『伊藤万理華の脳内博覧会』は、彼女のクリエイティブ性、脳内が全てさらけ出されたようなものだった。筆者もライター陣の一人として参加した『MdN2018年1月号』の付録ブックレット『伊藤万理華が乃木坂46に残したクリエイティブ』の言葉を借りれば、彼女のことを「SUNNY AND BLUE」と言い表すことができる。天真爛漫とシリアス。冒頭でふれた『Mステ スーパーライブ』が伊藤にとって最後のステージだった。ソロでカメラを抜かれることこそなかったが、白石麻衣と西野七瀬をセンターに据えたその奥で、確実にこちらにメッセージを放つ彼女の姿があった。それはまさに“BLUE”の伊藤の表情。表現者“伊藤万理華”があの場にいたことを、ここに記しておきたい。


 先日、一足早く深川麻衣が主演の映画『パンとバスと2度目のハツコイ』を観る機会があった。深川が持つ間や空気感が活かされた、日常の中にある“特別”が丁寧に描かれた映画だ。その帰り道には、立ち寄ったみずほ銀行のディスプレイに映る永島聖羅の姿が目に止まった。変化し、進み続ける乃木坂46だが、その陰にはたくさんのバトンが受け継がれてきたことを改めて感じる瞬間だった。


 東京ドーム公演の先には、ドームツアー、日産スタジアムなど、更なる高みが待ち構えている。生田絵梨花は乃木坂46として初のソロライブ『MTV Unplugged』を行い、西野七瀬はドラマ『電影少女~VIDEO GIRL AI 2018~』(テレビ東京系)の主演に挑むなど、個人活動でも充実期を迎えている。2018年は、グループだけでなく、メンバーそれぞれが望む「絶頂」のステージが、乃木坂46の新たな場所を示していくことになるだろう。(渡辺彰浩)