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冬の京都の魅力とは?「そうだ 京都、行こう。」を一足早く体験してきた【レポート】

2017年12月23日 14:12  TRAICY

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京都の冬は寒い。3年連続で観光客が5,500万人を突破し、観光地として国内外の注目を集める京都だが、冬季は寒さが厳しく「閑散期」となる。JRグループ各社は京都の冬のPRを行い、この時期にしか体験できない京都の魅力を発信することで、観光需要の獲得を狙う。

そうした背景のなか、東海旅客鉄道(JR東海)では、同社が展開するキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」と京都市観光協会が行う「京の冬の旅」のコラボレーション商品を発売する。2018年1月1日から3月21日まで実施される「京の冬の旅」キャンペーンは今年で第52回目を迎え、「明治維新150年記念」と「西郷隆盛」をテーマにした非公開文化財特別公開や、多彩なイベントが魅力だ。

一般向け販売よりひと足先に、「そうだ 京都、行こう。」×「京の冬の旅」コラボレーション商品の魅力をメディア向けプレスツアーで取材した。

キーワードは「インスタ」

インスタグラム上で「#そうだ京都行こう」というハッシュタグは約14万件投稿されており、京都の美しい景色や食べ物が拡散され、大きな反響を呼んでいる。しかしこれらは企業側が主導したのではなく、ユーザーの自発的な投稿によるものだという。京都を訪れたたくさんの人々がインスタグラム上で思い出をシェアしていることに感謝の気持ちを込め、JR東海は2018年1月8日より公式インスタグラムアカウントを設立する。JR東海の小林さんは「我々としても公式インスタグラムを始めることで、皆さんの投稿に一歩踏み込んだリポストを返させていただき、よりその投稿やインスタグラム上でのコミュニケーションを楽しいものにしていければと思っています。」と述べ、インスタグラムを活用してより多くの人に京都の魅力を知ってもらいたいという意気込みを伝えた。

西郷隆盛の歴史が残る「東福寺即宗院」

東福寺即宗院は、室町時代に薩摩の守護大名・島津氏久の菩提を弔うため創建された東福寺の塔頭寺院。西郷隆盛と勤王僧・月照がひそかにここで倒幕計画を練り、鳥羽伏見の戦いでは薩摩軍が寺の裏山山頂から洛中に向かって砲撃を加えたと伝わる。

「歴史に想いを馳せるといろいろなことが見えてくる。」と語るのは、東福寺即宗院の前住職である杉井玄慎閑栖(かんせい)。山を登った先にある、西郷隆盛が自筆した「東征戦亡の碑」には、東征の際に亡くなった524名の名前が刻まれている。これには勤王僧・月照と2人で苦しいときを共にした思い出の地に石碑を建てたい、という西郷隆盛の思いが込められているそうだ。

お寺に入る際に渡る偃月橋(えんげつきょう)は重要文化財となっており、「いろいろなところに歴史の足跡があって、たまたまその上に皆さんの足跡が重なったかもしれない。歴史というのはそういった意味で非常に面白い。」と歴史ある東福寺の魅力を強調した。

インスタで話題「漬け野菜isoism」

漬け野菜isoism(イソイズム)は、京都駅前に昨年夏オープンしてから話題のお野菜ダイニング。こちらは今回のコラボ商品には含まれていないが、好立地で雰囲気も良いので観光地を巡る合間に訪れる場所としてお勧めだ。店内はカジュアルな空間で、気取らずにリラックスして過ごせる。味噌漬け、酒粕漬け、オイル漬けなどユニークなメニューが特徴で、伝統的な「お漬物」の技法にとらわれないお漬物の進化形「漬けもん(づけもん)」が楽しめる。「京都といえばお漬物」という印象が強いが、酸っぱいイメージから若者の中にはあまり好まない人もいるという。そういった背景を踏まえ、野菜ごとに漬け方を変え、それに合うトッピングを添えることで野菜の美味しさを最大限に引き出す工夫がされている。

今年4月からスタートした「イソイズムのおひるごはん」は、12種類の色とりどりのお漬物が均等に並べられており、「インスタ映えする」と話題だ。お漬物には季節の炊き込みご飯と季節の野菜濃縮スープがつけられており、メニューは季節ごとに4種類用意されている。

「妙覺寺」の巨大仏画は必見

妙覺寺 (みょうかくじ)は、日蓮宗京都十六本山の一つ。荘厳な「祖師堂」には、日蓮聖人、日朗上人、日像上人の三菩薩坐像が安置されている。特別展示されている狩野元信筆と伝わる巨大な「大涅槃図(だいねはんず)」も見どころだ。

京の冬の旅の期間中、本堂内において画家・塩澤文男氏によるお釈迦様と四天王の巨大仏画の公開制作も行われている。平成30年春の完成時には蛍光塗料が塗られ、ライトアップで絵が光る姿も見ることができる。制作者の塩澤氏はもともとパーカッション演奏者だったが、岡本太郎さんの絵に感動したことで弟子入りし、音楽活動から芸術活動に切り替えたという異色の経歴の持ち主。近年では海外からも評価を得ており、幅12メートルの巨大仏画は圧巻だ。

伝統の京菓子「俵屋吉富」

俵屋吉富は、宝暦5(1755)年創業の老舗京菓子屋。常にいい菓子を求め、菓子道に励むことを意味する「菓心求道」を志に京菓子作りを続けている。

今回伺った烏丸店の2階には入館無料の京菓子資料館があり、館内には全てお菓子で作られた完成度の高い作品が展示されている。中でもウェディングケーキをイメージした、おめでたい松竹梅で構成される「華燭(かしょく)」は来場者の注目を集めていた。隣接する売店では可愛らしい和菓子のお土産を購入でき、歴史ある京菓子を自宅でも楽しむことができる。

銭湯を改装したお洒落カフェ「さらさ西陣」

今回のプレスツアーで京の冬の旅非公開文化財をめぐる合間に訪れた「さらさ西陣」は、銭湯をリノベーションした異色のカフェ。営業時間は正午から午後11時までで、カフェだけでなくランチやディナーにも利用できる。ディナーは午後3時から午後6時までの夕ご飯と、午後6時から午後10時までの夜ご飯に分かれており、ちょっと早めまたはちょっと遅めのディナーにも利用もできる点が嬉しい。

今回はカフェ利用で訪問したが、自社製アメリカンケーキの濃い味付けが、苦味のあるコーヒーとよく合う。コーヒーも自家焙煎で煎った豆を使用しており、鮮度はかなり良いという。店長の尾崎さんは「彩りはないが味で勝負。」と味へのこだわりを強調しており、カラフルな店内とシンプルなケーキのギャップが両者の良さを引き立ていると感じた。

もともとこの建物は1930年から2000年までお風呂屋さんとして営業しており、その物件がリノベーションされ現在のカフェとなった。床の下にはまだ当時の湯船が残っており、店内やトイレの鏡も脱衣所のものをそのまま使っているそうだ。食べログでの評価も3.5を超えており、人気ぶりがうかがえる。

「そうだ 京都、行こう。」×「京の冬の旅」は1月10日開始

「そうだ 京都、行こう。」×「京の冬の旅」コラボ商品は2018年1月10日から開始となり、予約は公式サイト上で受け付けている。コラボ商品では、往復新幹線・ホテルに加え、「京の冬の旅」非公開文化財特別公開1ヶ所を拝観できるバウチャー券や、「限定新作京菓子+お茶のセット」との引換券がセットになったプランが販売される予定だ。この時期にしかできない京都での体験は、新年最初の思い出になるだろう。

俵屋吉富烏丸店 京菓子資料館の展示物と、東福寺と妙覚寺の庭園以外は一般撮影禁止となっている。今回は特別に許可を得て撮影した。