2018年でTCR規定採用2年目を迎えるSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権は、スポーティング・レギュレーション改革の一環として、週末に開催するレース数を2017年の3ヒートから2ヒートに削減すると発表した。
2017年の9月にSTCC ABの会長職をヨナス・リンデンから引き継いだばかりのハンス・バースは、先の2018年暫定カレンダー発表に際して伝統的なリバースグリッドの復活導入を表明し、改めてファンの興味喚起を図る施策を今後も打ち出していくと語っていた。
今回STCCが発表した声明の中で、バースは「3ヒートではなく2ヒートに削減したそのタイムテーブルの余剰で、よりファンがドライバーやチームと交流できる時間や機会を増やしていくのが狙い」だとしている。
「テレビの視聴者と、サーキットを訪れるファンの双方を、よりモータースポーツイベントの核心に近付ける努力をすることが我々の使命だ。さらにレース2でリバースグリッドを採用すれば、より多くのアクションをファンに提供することも可能になるだろう」
昨年までは予選フォーマットが3セッションに分かれ、Q1の上位からレース1グリッドを確定。Q2に進出したマシンでレース2のグリッドを、Q3に進出した10台でレース3のグリッドが争われるスタイルを採用していた。
今回の変更では、その予選フォーマットが2セッションに改められ、全車で争うQ1でレース1のグリッドを決めるのは変わらないものの、上位12台が進出するQ2では上位10台が逆転するリバースグリッドの形式で、レース2のグリッド位置が決まることとなった。
さらに予選Q1、Q2ともに最速タイムをマークした上位5名のドライバーには、上から5、4、3、2、1点の選手権ポイントが付与され、優勝ドライバーに贈られるポイントは2017年と変わらず25点となっている。
2016年を最後に幕を閉じたTTA規定時代に採用されていたリバースグリッドに関しては、チームとドライバー間でその運用に関しての懐疑的な声が根強く、戦略的に“リバースポール”を狙うドライバーやチームが散見されたため、2017年のTCR規定導入を機に廃止された経緯があった。
これに対し、今回のリバースグリッド規定では、予選最速ドライバーから上位5台に選手権ポイントを与えることや、25ポイントという大きな優勝ポイントが採用されている点を合わせて、健全なコンペティションが期待できるとの判断から、復活採用に踏み切った。
STCCのスポーティングディレクターを務めるトーマス・ヨハンソンは「レース1を前にして何らかの議論は発生するだろうが、この変更が一層のコンペティションと、ドラマティックなチャンピオンシップを生み出してくれると信じている」とコメントした。
「とくに予選Q2での10番手と11番手では、天と地ほどの差が生まれる。かといってQ2で10番手を狙うのが得策かどうか。最速タイムの5ポイントを考えれば、諸手を挙げて“Yes”とは言えない状況が生まれるだろう。いずれにせよ中段に沈むのは2017年以上にリスクが高い」とヨハンソン。
2017年チャンピオンのロバート・ダールグレンを擁するPWRレーシングと、WorldRX世界ラリークロス王者ヨハン・クリストファーソンと、その父が運営するクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)で、合計21勝を奪うなど戦力が大きく偏った形となったTCR初年度のSTCC。
その反省を踏まえて、この新ルールは予測不可能性を高めることを目的としており、各週末にエントラントが“常に最速を目指す”必要性を高める狙いが込められている。
また、このフォーマット変更に加えて、各陣営が週末に使用できるタイヤセットも、1台あたり2セット削減とするなど、主催者側が新たな競争を演出するべくさまざま策を弄している。