パラリンピックで4度のゴールドメダリストに輝いた、元北米チャンプカー王者のアレッサンドロ・ザナルディが、BMWとともに2019年のIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ(WSCC)伝統の開幕戦、デイトナ24時間への参戦を計画。アメリカン・モータースポーツシーンへの復帰を目指していることがわかった。
2001年にチャンプカーのドイツ・ラウジッツリンク戦での事故で下半身に重大な障害を負いながら、その後も、不屈の闘志でスポーツへの挑戦を通じて自らの可能性にチャレンジしてきたアレックス・ザナルディは、BMWが開発したブランニューモデル『BMW M8 GTE』に特別なドライブ器具を装着する開発作業に参画し、人工下肢によるブレーキングを実現すべく、システムの完成に向けたテストに入るという。
ザナルディは元F1ドライバーとしてロータス、ウイリアムズなどで活躍。そして北米CARTシリーズでは圧倒的強さで2度の王座に輝き、大怪我を負った2001年以降も、BMWのワークスドライバーとしてWTCC世界ツーリングカー選手権でBMWスペイン・イタリーを運営したROALモータースポーツとともに、BMW 320siなどをドライブし戦ってきた。
さらにモータースポーツ以外でも、パラリンピックではいくつもの成功を収め、直近のブラジル・リオ五輪ではハンドサイクリングH5部門のTT(タイムトライアル)とロードレースで見事金メダルを獲得。同じく国別対抗でも銀メダルを獲得するなど、依然衰えぬアスリート魂を見せてくれた。
そのザナルディにとって、本格的スポーツカーのドライブは2016年にスポット参戦を果たしたイタリアンGTのムジェロ戦以来。
2018年後半には実際に製作されたシステムをGTE車両に装着し、テストが成功すれば2019年のデイトナ24時間には、BMWの正式なワークスドライバーとしてエントリーする計画だという。
「2018年を通して、この新しいプロジェクトにおいてアレックス・ザナルディとともに働けることは、我々にとっても大きな喜びだ」と語るのはBMWのモータースポーツディレクターを務めるイェンス・マルカルト。
「彼自身の持つ『北米のビッグレースでもう一度戦いたい』という情熱は本物で、その実現を我々のリソースで可能にしたいし、後押しができたら光栄だ。もしアレックスとBMW M8 GTEが19年の1月に北米伝統の1戦に参加することになれば、ファンにとっても最大のハイライトになるに違いない」
最後にドライブしたイタリアンGTでのマシンは『BMW M6 GT3』だったこともあり、ザナルディにとってもGTEスペック車両のドライブは初の挑戦となる。
いまやパラサイクリングで8度の世界王者獲得経験を持つザナルディにとっての、新たな"挑戦"を楽しみに待ちたい。