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静岡県職員の自殺、全国平均の倍の年も…県民の自殺対策強化する足元で「謎の多発」

2017年12月22日 11:43  弁護士ドットコム

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まったり働ける「ホワイト」な職場、としてのイメージを持たれがちな地方公務員。にもかかわらず、静岡県職員の自殺者の割合が、全国の都道府県・政令指定都市職員の平均を2倍近く上回っていることが物議をかもしている。


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●2015年度の自殺者数、全国平均の約2倍

きっかけは、12月18日の川勝平太知事による定例会見。県や朝日新聞などの報道によれば、記者団の質問に答える形で約2倍だという事実を認めた。具体的には2015年度の県職員(知事部局)の自殺率(1000人あたり)は0.34で、都道府県・政令指定都市職員の平均が0.18だった。


また、2009ー2016年度の8年間での県職員の自殺者数は計41人。内訳は知事部局が17人で、教育委員会や県警本部などで24人。県によれば、知事部局の17人のうち2人は「公務災害」による自殺で、業務が多忙だったり職責が重すぎたりしたことが要因の一つと考えられるという。


今年度も既に2人が自殺しているというが、県への取材では「パワハラ」が蔓延しているといった特有の事情があるのかどうかなど、直接的な理由はうかがい知れない。


●ストレスチェックに効果はあるか

県も無策というわけではない。昨年度にストレスチェックを導入し、高ストレスな職員には専門機関の受診などをすすめている。ただ、県職員組合は「ストレスチェックの結果を踏まえて、職場の上司が仕事量や仕事内容、仕事環境について改善を図らない限り、ストレスチェックは意味をなさない」と手厳しい。


●知事会見の翌日、県民向けに自殺予防の取り組み発表

一方、知事会見の翌日19日には、県民の自殺予防に役立てるためのツイッターを使った新たな取り組みが発表された。県職員の自殺問題とは関連がないという。


携帯端末の位置情報などを使って県内からの投稿かどうか判断し、投稿が自殺をほのめかす内容なら、「だれにも話せないことを、話せる場所があります。静岡県」と書かれた広告が表示される。さらに進むと、県の相談窓口に誘導する仕組みだ。


全国でも珍しい取り組みといい、神奈川県座間市でツイッターに自殺願望を書き込んだ女性が殺害されたとみられる事件が起きたことを受け、急きょ、県健康福祉部の裁量で40万円余りの費用をつけて始まった。期間は来年3月末まで。


知事会見で自らの職員の自殺が脚光を浴びるという予期せぬ状況下でのスタートになったが、県障害福祉課の担当者は「県民の自殺対策に役立てたい」。県職員も県民に含まれるため、県職員が使用することも当然できるという。


(弁護士ドットコムニュース)