2017年12月22日 10:32 弁護士ドットコム
ハリウッドスターのジョージ・クルーニーさんが、友人14人に100万ドル(約1億1000万円)ずつプレゼントしたというニュースが話題になっている。しかも、「税も支払い済み」だというから、超カッコ良い。
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このエピソードは、友人グループの一人が米テレビ番組で明かしたもの。デビュー当時の売れない俳優時代から支えてくれた仲間への「恩返し」として、2013年にクルーニーさんが自宅でプレゼントしたという。
税金を支払い済みとのことだが、日本で同じことをして、カッコ良く大金を渡すことはできるのだろうか。福留聡税理士に聞いた。
――あらかじめ税金を払っておくことはできる?
日本では、個人から財産をもらった時に「財産をもらった人」が贈与税を支払います。ですから、あらかじめ払っておくことはできません。
また、贈与税は1年間(1月1日~12月31日)にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかりますので、もらった財産の合計額が110万円以下ならかかりません。
一方、米国では、日本と異なり、個人へ財産をあげた時に「財産をあげた人」が贈与税を支払います。また、贈与税は、あげる人一人に付き年間1万4千ドル(2017年)、1万5千ドル(2018年)差し引いた残りの額に対して贈与税がかかります。
すなわち、日本では父親1人から1年間に110万円超もらえば贈与税の対象になりますが、米国では父親と母親から別々に1万4千ドル(2017年)、1万5千ドル(2018年)ずつもらっても贈与税の対象になりません。
このように、米国では、「贈与する者」が贈与税を支払うため、税金支払い済で贈与できますが、日本では、「受贈者」が贈与税を支払うため、税金支払い済みの贈与はできません。
――日本でジョージ・クルーニーさんのマネをするとしたら、贈与税込みの金額を渡すしかないということか。もし、「税引後1億円」にしたい場合、いくら渡せば良い?
直系尊属以外の人から贈与ということだと、税引後1億円にするためには、2億1198万8888円を渡す必要があります。算式は、(贈与を受けた財産の価額-基礎控除額110万)×一般税率55%-控除額400万円=税額、です。
【取材協力税理士】
福留 聡 (日本·米国ワシントン州)公認会計士、(日本·米国)税理士、行政書士
監査法人で上場企業の監査業務等を経験後,IPO支援、決算支援,IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。
事務所名 : 福留聡税理士事務所、福留聡国際会計アドバイザリー株式会社
事務所URL:http://www.cpasatoshifukudome.biz/
(弁護士ドットコムニュース)