2017年12月22日 10:32 弁護士ドットコム
同居していた彼女が勝手にコレクションしていたDVDを転売…。コレクターの男性にとっては他人事ではない、ショッキングなニュースが11月に報じられた。神戸新聞によると、交際していた男性のDVD8枚(約9万円相当)を勝手に盗んで転売したとして、窃盗の疑いで明石市内の無職女性が兵庫県警明石署に逮捕された。
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男性の所持品が以前からなくなることがあり、大切にしていたDVDのコレクションがなくなったことから、警察に被害届を出していたという。DVDにはアニメ「魔法少女リリカルなのは」や「鋼の錬金術師」などが含まれていたと報道されている。
ネットでは以前より「勝手に男性のコレクションを売る女性」が議論となっている。今回のケースでは、お金目的だったと報じられているが、妻が夫のコレクションを売る場合は、「部屋を片付けたい」「浪費をやめさせたい」などの理由も考えられる。彼女や妻が男性のコレクションを勝手に処分することは、全て「犯罪」なのだろうか。村木亨輔弁護士に聞いた。
今回、同居していた交際相手の女性が勝手にコレクションを盗んで転売していた。窃盗の疑いで逮捕と報じられているが、どのような罪に問われる?
「今回、問題となる窃盗罪について、刑法235条では『他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する』と規定しています。そうしますと、女性は、同居中の交際男性の所持品を盗んだということのようですので、窃盗罪に該当するでしょう」
交際相手の女性ではなく、妻や、内縁の妻がもし今回のように、勝手に夫のコレクションを転売した場合は、やはり窃盗罪に問われるのだろうか。
「刑法244条1項では、『配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する』とも規定しています。そうしますと、妻が夫のコレクションを転売目的で盗んだ場合、窃盗の罪は免除されます。刑の免除とは、起訴され、有罪だったとしても、刑自体を科さない判決のことです。
ところで、平成18年8月30日付の最高裁判決において、免除を受ける対象を明確にする必要があることを理由に、内縁の配偶者には同条の適用または類推適用を否定しました。そのため、内縁の配偶者が盗んだ場合、刑は免除されません。
以上は刑事的な部分に焦点を当てたお話ですが、民事的にも損害賠償を請求されるおそれはあるでしょうし、それ以前にお互いの信頼関係は壊れてしまうでしょうから、安易に他人のものに手をつけたりするべきではないことは当然のことでしょうね」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
村木 亨輔(むらき・きょうすけ)弁護士
虎ノ門法律経済事務所神戸支店の支店長弁護士。東京本店を中心に、全国に26の支店があり、今後も各地に拡大する予定。本店支店間が相互に連携を取ることにより、充実したリーガルサービスの提供を可能とする。
事務所名:虎ノ門法律経済事務所 神戸支店
事務所URL:http://kobe.t-leo.com/