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小沢健二、Mステは総決算のステージに? コラボ続いた2017年を振り返る

2017年12月22日 10:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 小沢健二が2017年2月22日に19年ぶりの新作『流動体について』をリリースし、音楽シーンに“復活”してから約10カ月。小沢の2017年の活動を振り返ると、朝日新聞への全面広告、約20年ぶりの『ミュージックステーション』を皮切りにした数々のテレビ番組への出演、『FUJI ROCK FESTIVAL 2017』出演、伊勢丹新宿店「TOKYO解放区」とのコラボショップ、ストリーミングサービスへの楽曲配信解禁……と、かつてのファンのみならず若者にも訴求するような新たな施策に挑み続けていた。しかし中でも特に、アーティストとのコラボが印象的だったように思う。


(関連:小沢健二とSEKAI NO OWARI、コラボの必然性 『フクロウの声が聞こえる』発売までの流れを読む


 まず挙げられるのは「流動体について」のMVだ。映像には有野晋哉(よゐこ)、夢眠ねむ(でんぱ組.inc)、HALCA(HALCALI)が登場。もともと小沢のファンだった夢眠や有野、小沢のバックコーラス、バックバンドのスタイリングを務めるHALCAが歌詞を口ずさむ様子を映したMVは、ポップでカラフル。しかしそれだけに留まらない、どこか“魔法的”な雰囲気は小沢の完全復活をはっきりと示していた。


 続いて小沢が9月6日にリリースした、SEKAI NO OWARIとのコラボ曲『フクロウの声が聞こえる』。NakajinがFukase、Saoriとも幼馴染みであるファンタジスタさくらだから小沢の連絡先を聞き、2015年にニューヨークで出会ったことを機に今回のコラボに至ったという。小沢の持つポップで幻想的なサウンドや歌詞、SEKAI NO OWARIによるファンタジーを追求した世界観が絶妙にミックスされている同楽曲。華やかなオーケストラに乗せて歌われる小沢とFukaseの柔らかく、切実なボーカルの相性の良さに驚くと同時に、2組のコラボに納得するリスナーも多かったはずだ。


小沢健二とSEKAI NO OWARI 『フクロウの声が聞こえる』短篇 Ozawa Kenji & Sekai No Owari “I Hear an Owl” Short
 小沢が他のアーティストとコラボするのは、スチャダラパーとの「今夜はブギー・バック」以来、23年ぶり。YouTubeで公開された「小沢健二とSEKAI NO OWARI 『フクロウの声が聞こえる』短篇 Ozawa Kenji & Sekai No Owari “I Hear an Owl” Short」で、小沢はニューヨークでメンバーと過ごした日々をこう振り返っていた。


「(子育てをしていると)どうしても親っぽい友達ばっかりになっちゃうじゃないですか。そうじゃなくて……(DJ LOVEが)ガーンってiPhone見せてるのが、なんか肩の荷が下りた」


 『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)出演の際、SEKAI NO OWARIとともに少年のような無垢な笑顔で演奏する小沢の姿からも心から音楽を楽しんでいることを感じたが、“遊び”の中で生まれた音楽という意味では、小沢が同じマンションで仲の良かったBOSEの部屋を行き来して作られたという「今夜はブギー・バック」を思い起こさせる。


 さらに12月8日よりApple Musicにて配信開始した、小沢がホストを務める番組『Tokyo, Music & Us 2017-2018』には満島ひかりがゲスト出演。番組中、二人は雨の降る屋形船で小沢の楽曲「ラブリー」をセッションしている。小沢はここでもやはり、生き生きとした表情を見せていた。


 そして本日12月22日放送の『ミュージックステーション スーパーライブ2017』では、「流動体について」に加え「今夜はブギー・バック featuring スチャダラパー」を披露。同楽曲のテレビパフォーマンスは久々となる。小沢は渡米を選択した理由について3月1日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)で「無理ですね、あれを続けるの」と多忙のあまり疲弊してしまったことを語っていたが、「流動体について」のMVやSEKAI NO OWARI、満島とのコラボを通じて、歌い、演奏することの楽しさを再認識したかのように見えた。2月公開の映画『リバーズ・エッジ』に主題歌「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」を書き下ろすなど、2018年以降も精力的な活動が予想される小沢。今夜の放送は新たな挑戦を続けてきた2017年の総決算とも言えるステージとなりそうだ。個人的にはスチャダラパーも出演して、コラボパフォーマンスが見られたら嬉しい。(村上夏菜)