経団連の榊原会長は12月18日の記者会見で、副業・兼業について「旗振り役をする立場にはない」と、推奨しない立場を明らかにした。これをNHKが伝えると、この発言に反感を覚えた人たちから「じゃあ給料上げろよ」など、ネットで多くの批判が上がっている。(文:okei)
政府は「働き方改革」において副業・兼業の普及を目指しているが、経団連の姿勢は一貫して消極的だ。2015年の政府調査では、副業を認めている企業は15%程度。最近の民間調査では中堅企業の約33%が認めているとの結果もあるが、大企業では取り組みが遅れているという。
「やりたくて副業してるわけじゃないだろ。コストカットしといて何を言う」
榊原会長は会見で、「副業・兼業は社員の能力開発というポジティブな側面もあるが」と断りつつ、次のよう述べた。
「一方で、パフォーマンスの低下や情報漏えいのリスク、両方を合わせた総労働時間の管理のしかたなど課題が多い」
「副業・兼業について各社の判断でやるのは自由だが、いろいろな課題があるので、経団連としては旗振り役をする立場にはない」
つまり、これまで通り反対の立場であると念を押したのだ。
この発言に対して、ネット上では多くの批判が上がっている。2ちゃんねるでは
「副業されたくなければもっと賃金出せよ」
「やりたくて副業してるわけじゃないだろ。コストカットしといて何を言う」
など、副業しなくても充分な暮らしができるように賃金を上げろと噛みつく人が大勢いた。終身雇用が崩れ非正規雇用が増加したいま、仕事に安定・安心を感じられない人がなんと多いことか。
副業の流れは止まらない「一社の収入でまともな生活できないから」
ほかにも「もう社畜の時代じゃないんだよ」「ならば終身雇用制度でも復活させたらいかがですか?」などと冷ややかなコメントも。一生を会社に尽くして安泰だった時代とは違うのに、1つの会社で身を粉にして働けと言われたように感じたのだろう。
「派遣入れておいて情報漏えいを心配してるとか」など、すでに職場に非正規雇用の入れているのに、今さら情報漏えいの心配かと呆れたり嘲笑したりも多かった。「お偉いさんは複数のポストに就いて当たり前なのにな。例を挙げると経団連の連中とかな」と皮肉る声もある。
副業を解禁すると榊原会長が指摘したような問題があることも確かだが、「一社の収入でまともな生活できないんだから掛け持ちするしかない」という声は切実だ。
経団連に名を連ねる大企業の社員には、金銭的な理由での副業は必要ないのかもしれない。しかし、会社への忠誠心など無いに等しい昨今、多くの人が様々な理由から副業する流れは止められないだろう。