女性議員が仕事と妊娠・出産を両立する道が開かれるかもしれない。群馬県の榛東村議会は、南千晴議長(37)の妊娠をきっかけに、議員の育児による実質的な休業を明文化するか検討しているという。12月20日、上毛新聞が報じた。
南氏は、キャリコネニュースに対して、「榛東村では、村議会議員が妊娠・出産をした前例がない。今後のことは周囲と相談していく」と話す。
「周囲の理解や協力を頂きながら、議長としての重責を全うできるよう頑張りたい」
榛東村の人口は1万4722人で、村議会議員は議長を含めて14人。議長以外は全員男性だ。南氏は今年4月の村議選でトップ当選し、議長に就任した。
村議会の規則では、議員が事故にあったときや出産をするときは議会を欠席できることになっている。出産については、
「議員が出産のため出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる」
と定められているのだ。しかしこの「日数」については明記されておらず、どのくらい休めるのかは決められていない。
議員には適用されないが、労働基準法では、出産予定日の6週間前から出産後8週間の産前・産後休業を取得することができるとしている。その規定に準じて、休みの期間を定めるのか。南氏は「他の町村の事例を調べて検討したい」と話すに留まった。休んでいる間の議長職については、「今後、相談していく」という。
上毛新聞では、規則に「育児による欠席」を加えるかもしれないと報じられていたが、具体的なことは何も決まっていないという。しかし南氏は、今後の村議会のあり方について、
「現在、町村議会はなり手不足で定員割れになっているところもあります。そうした現状に対応するためにも、多様な人材が参画できるような環境作りが大切だと思います」
と前向きに語った。出産後は「周囲の方々の理解や協力を頂きながら、議長としての重責を全うできるように頑張りたい」と両立に意欲をのぞかせる。
「出産や育児をしながら議会の仕事ができる環境を作ることは重要」
ネットには、「頑張れ」「議会として制度化を検討するという前向きな方針がいいですね」と榛東村議会の動きを歓迎する声が寄せられていた。ライターのやつづかえりさんは、ヤフーニュースのオーサーコメントとして、
「出産や育児をしながら議会の仕事ができる環境を作っていくことはとても重要。もし、議員や議長である間は出産も育児もできないということであれば、子どもを望む女性は立候補することさえためらってしまいますから」
と投稿していた。
世界の国会議員が参加する列国議会同盟によると、議会における女性議員の割合ランキングで、日本は193か国中163位だという。より多くの女性が議員になるためにも、議員としての仕事と妊娠・出産を両立する環境が必要なのかもしれない。