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F1オーバーテイク向上のための研究に、幻のマノー2017年型モデルが貢献

2017年12月21日 06:41  AUTOSPORT web

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2016年F1で走ったマノーMRT05
F1のモータースポーツ担当マネジングディレクター、ロス・ブラウンは、F1のオーバーテイクを増やすための研究に、マノーF1チームの2017年型CFDモデルを利用していることを明かした。マノーは2017年への参戦準備をし、今年のレギュレーションに則ったマシンの開発作業を進めていたものの、開幕前に破綻し、F1活動中止を余儀なくされた。

 F1新オーナーは、スポーツの改善のため、新しいレギュレーションの策定を目指している。ブラウンはそのためにさまざまなリサーチを行っており、その一環で専門家によるチームを作り、空力面の研究を進めている。

 ウイリアムズ空力部門で責任者を務めた経験を持つジェイソン・サマービルが率いるこのチームは、マノーの2017年型マシンのデータを取得、研究に利用している。今後は既存チームから2017年マシンについてのCFDデータの提供を受けることも決まっているという。

「マノーの2017年型マシンのジオメトリーを購入した。CFDモデリングにおいて、少なくとも基本データは得られるよう、一般的なモデルを使いたかったのだ」とブラウン。

「マノーのマシンが最先端でないことは分かっているが、2017年の形状ではあるので、役に立つ」

「2台のマシンを一緒に走らせるという形で、初期的作業を行っている。今シーズンも終わったので、(既存)チームがそれぞれの2017年型マシン(のデータ)を提供してくれる。そうすればより現実に近いモデルを得られるようになる」

「各チームとは秘密保持契約を結んだ。これに基づいて彼らは、我々のCFDプログラムで使用するための、より現実に近いモデルを提供してくれる」

「我々の組織は75パーセント出来上がっている。年明けに何人か加わる予定であり、すべて順調だ」

「来年早い段階で、我々のプランについてお知らせすることができると思う」


 このリサーチチームは、接近戦のなかでの空力の状況をより深く理解することを目指している。

 2017年にはレギュレーションが変更され、ダウンフォースが向上、これによってマシンは速くなったが、オーバーテイクはしづらくなり、実際にF1タイヤサプサイヤーであるピレリの分析では追い越しの回数は大幅に減った。

 ブラウンは、最先端のCFDツールと技術をめいっぱい活用することで、タービュランスによる悪影響を最小限にとどめ、バトルがしやすい環境を用意する空力のベストな条件を探ろうとしている。

「チームはCFDの技術とキャパシティに関し、レギュレーションで制約を設けられている。しかし我々にとって興味深いのは、我々にはそういった制限がないということだ」とブラウンは言う。

「チームはCFDをどれだけ使用できるか、どのようなプロセスを利用できるかについて、非常に厳しく制限されている」

「我々にはそれはない。それによって、F1やこの世界の今の状況について、わずかなりとも何か見えてきたことがある。CFDに関しては、今の世界はF1を大きく先んじている」

「つまり、我々はどのF1チームをも大幅に上回るキャパシティと、必要なことをするための能力を備えて、研究にあたっているというわけだ」