2017年12月20日 10:32 弁護士ドットコム
高級ブランド・ティファニーの通販サイトにある「おねだりボタン」が「怖すぎる」と話題になっている。欲しい商品を選択し、自分と「おねだり相手」それぞれの名前、メールアドレスを入力すると、相手に「クリスマスプレゼントのヒント」が届くのだ。
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文面は、「◯◯さんは、こちら(の商品)をとてもお気に入りのようです」など、3パターンから選べ、メールの返信先は登録済みの自分のアドレスになっている。
会員登録や本人確認もないので、とても簡単に使える「おねだり」機能。それだけに、誰かの名前やメールアドレスをかたって、相手に無駄にお金を使わせる、いたずらが行われる可能性も指摘されている。
もしも、他人になりすまして、おねだりした場合、何らかの罪に問われることはあるのだろうか。山岸純弁護士に聞いた。
「刑事の面では特に問題はなさそうです。確かに、『他人』の名前を使って文書を作成すれば、『他人の名前を冒用して、文書を作成した』ものとして、文書偽造などの罪が考えられますが、とても、処罰されるレベルの話ではありません。
また、詐欺罪も考えられますが、全く無関係なAが、Bの『好きな人』になりすました結果、『好きな人』から『おねだり』されたと誤解して、Bがティファニーで貴金属を購入(ティファニーに金銭を交付)したとしても、Aの物にはならないわけですから、詐欺罪は成立しません(難しく言うと「不法領得の意思」がないので詐欺罪が成立しません)。
ティファニーの新しいサービスを妨害するという意味では、業務妨害罪も考えられますが、ティファニー側に業務を妨害されたという意思はないでしょうから、とても成立するようなものではありません。
では、だまされて貴金属を買ってしまった人は、ティファニーに返品できるのでしょうか(ティファニーが任意に応じてくれない場合)。この点、ティファニー側が、『おねだり』機能が悪用されている、と認識していない限り、買った人は貴金属の購入を取消すことができません(民法96条2項)。
あとは、だました人に、責任追及していくというところでしょうか」
処罰されることはなさそうだが、軽いイタズラのつもりでやると、大きなトラブルに発展する可能性もありそうだ。クリスマスシーズン、くれぐれもご注意を。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山岸 純(やまぎし・じゅん)弁護士
企業法務分野で培った知識や経験を活かし、難しい時事ネタや法律論を分かり易く伝えることに日々研鑽に努めている。「いいねを押したい弁護士ブログ」、「ビジネスジャーナル(サイゾー社)」に随時コメント等を掲載中。東京弁護士会公益通報特別委員会副委員長。
事務所名:弁護士法人ALG&Associates
事務所URL:https://www.avance-lg.com/