日本生産性本部は12月14日、8回目となる「メンタルヘルスの取り組みに関する企業アンケート」の調査結果を発表した。調査は今年7月~9月の間、全国の上場企業2273社を対象に実施。うち221社から回答を得た。
「心の病が最も多い世代」を聞くと、「30代」と回答した企業は2006~2010年にかけて約6割の高水準で推移していたが、2012年以降は低下傾向にある。今回調査では前回調査の2014年から6.2ポイント下げて32.6%だった。しかしそれでも3割台と依然として高い。
「求められる仕事の質が高い」組織風土では心の病が特に増加傾向
「40代」は前回調査と比較して3.4ポイント上昇し35.8%で、全年代中で最も高かった。これまで10%台だった「10~20代」は過去最高の27.9%に上昇し、3割に届く水準に達した。
調査結果について日本生産性本部はリリース内で、
「30代については仕事ができるようになり、働き盛りといわれる年代だが、それだけに仕事を任され責任が重くなる。ところが管理職にはまだなれず、責任と権限がアンバランスになる年代といってよい(中略)この『責任と権限のアンバランス』が40代、10~20代にも広がったと考えられないだろうか」
と推測している。
「最近3年間の心の病の増減傾向」を聞くと、「増加傾向」と回答した企業は24.4%(前回調査比4.8ポイント低下)、「横ばい」が59.7%(同1.7ポイント上昇)と、増加に歯止めがかかったように見える。しかし、「減少傾向」と回答した企業は10.4%と未だに1割ほどであり、心の病の発生が減ったとは言えない。
心の病の発生と組織風土は密接に関係している。「職場では今までに経験したことがないような課題が増えている」、「求められる仕事の質が高くなっている」、「従業員が自発的に今までの仕事のやり方を変えることが求められている」という企業では、心の病が「増加傾向」と回答する割合が高かった。