トップへ

D-LITE、ソロ活動はなぜコミカルに? 宴会企画『でぃらいと』シリーズと三枚目キャラから考察

2017年12月19日 18:32  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 D-LITE (from BIGBANG)が、12月20日にミニアルバム『でぃらいと 2』をリリースする。前作『でぃらいと』から約3年ぶりの“宴会企画”第2弾。BIGBANGとしてステージに立ったときにはいクールなパフォーマンスで世界中のファンを魅了する一方で、ソロ活動ではコミカルな楽曲で笑わせてくれるD-LITE。本作でも、その魅力は余すこと無く詰め込まれている。


参考:BIGBANGの音楽性はどう受け継がれた? iKONが築く、K-HIPHOPの最新モード


■期待に応え続ける謙虚な秀才


 “この人がいれば間違いなく楽しい”そんなふうに思える人が、あなたのまわりにもいないだろうか。D-LITEは、まさにそんな人だ。BIGBANGで日本のバラエティ番組に出演した際には、飾らない発言で場を和ませ、純粋すぎるリアクションで笑いを誘う。誰もが第一印象で親しみを覚えるのが、D-LITEの魅力。


 そもそもD-LITEが歌手を目指そうと思ったきっかけは、中学生の学園祭だったという。(参照:【インタビュー】 D-LITE(from BIGBANG)、ソロとして新たな一歩「僕の音楽を聴いて力をもらってくれたら」。T.O.Pも応援)担任の先生に内緒で学園祭に推薦され、やむなくステージに立ったことが忘れられなかったと語る。誰かの期待に応えることで、自分にスポットライトが当たる。D-LITEの進化の源には、いつも相手を喜ばせたいという想いがあるようだ。


 きっとこの“宴会企画”も、D-LITEのサービス精神から生まれたものだろう。そして実際に歌えば抜群の歌唱力で期待以上に応えてくれる。“打てば響く”という信頼は増す一方だが、本人は至って謙虚な姿勢崩さない。先のインタビューでも、ソロ初のツアー初日に「本気でこっそり逃げようと思ったぐらい(笑)。自信もそんなになかったし勇気もなかったんですよ」と率直な言葉を並べている。


 そんな彼のライブは、ファンとのコミュニケーションの場だ。パフォーマンスを一方通行に魅せるのではなく、一緒に踊り、会話を楽しむ。盛り上がるあまり公演時間が延びてしまうことも。「ソロはソロで楽しいし、BIGBANGはBIGBANGでしかできないことがあるからどちらもすごい楽しいです」どんな場面でも、求められる声に120%で応えるのが、D-LITEのエンターテインメントだ。


■全力で演じる三枚目のカッコよさ


 期待を上回るホスピタリティで人を喜ばせてくれる彼のもとには、自然と彼の魅力をさらに高めてくれる人たちが集まってくる。“D-LITEのためなら”と、ひと肌脱ぎたくなるのだろう。“宴会企画”第1弾を飾った「ナルバキスン((Look at me, Gwisun)」は、BIGBANGリーダーのG-DRAGONが作詞作曲に携わり、日本語歌詞も前山田健一(ヒャダイン)が担当。三枚目男の哀愁を全力で歌うD-LITEは、カッコ悪くてカッコいい。


 第2弾となる本作でも、「あ・ぜ・ちょ!」が楽しい。水野良樹(いきものがかり)が作詞作曲した楽曲の主人公も、また健気な三枚目キャラ。一目惚れした女性を振り向かせるために、かわいい系になったり、ワイルド系になったり。<あなたの 全部を さあ頂戴>と、あの手この手を尽くすD-LITEに思わず感情移入してしまうのだが……その結末は、ぜひMVを見てほしい。


 さらに、本作では鈴木雅之の「違う、そうじゃない」や、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」など往年の名曲をカバー。世代を超えて愛されるラインナップは、宴会にはもってこい。日本の忘年会、新年会シーズンを盛り上げてくれるとは、まさにサービス精神のかたまりだ。ちなみに、歌詞カードにもファンをニヤリとさせる仕掛けがある。そんな遊び心満載な演出も、楽曲へのリスペクトを感じられる歌唱力が大前提。遊び心と才能の絶妙なバランスを持つD-LITEだからこそなせる技だ。


 BIGBANGは来年から充電期間に入ることが発表されている。D-LITEの持ち前の明るさが収められた『でぃらいと 2』には、もう一つ大事なメッセージが込められている。それは、珠玉のラブバラード「そばにいてよ」。恋人との別れを歌ったこの曲は、そのままD-LITEとファンのしばしの別れを連想させる。


 D-LITEの「毎回毎回、ぼくの人生で最後のライブだなと。すごく幸せです。ぼくはずっとみなさんのそばにいるから」という語りから幕を明けるMV。絞り出されるような歌声は、まるで歌う時間そのものを噛みしめているよう。背景には、多くのファンやスタッフと過ごした思い出がダイジェストに流れる。きっと、ステージを離れている間、D-LITEを恋しく思う誰もが回想するシーンなのではないか。同じ風景を胸にしまって、行ってくるから。心だけはずっとそばにいるから……そんなD-LITEのラブレターのようにも感じられる。


 しばらく会えない間、哀しいことや苦しいことがあっても、ファンから笑顔が消えることがないように。『でぃらいと 2』は、たっぷりと特典映像も収録されているところにもD-LITEの愛情深さゆえではないだろうか。離れても、すぐに会えなくても、彼と同じ時を過ごしている感覚になることはできる。宴会の楽しい時間のみならず、お土産までもらったような気分だ。さて、『でぃらいと 3』がリリースされるまで、少し時間があるようだ。D-LITEにならって、彼が好きなレゴを気長に組み立てて待つのもいいかもしれない。(佐藤結衣)