2017年12月19日 10:03 弁護士ドットコム
パソコンやスマホの販売・修理などを手がける「PCデポ」がサービス提供する光回線の契約について、高額な解約料を請求されたというツイートが、このほどネット上で話題になった。PCデポをめぐっては、昨年8月にも高齢者を高額サービスに加入させていた問題が批判を集めていた。
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11月上旬に投稿されたツイートによると、PCデポがサービス提供する光回線を解約しようとしたところ、高額な解約手数料を請求された。光回線とあわせて利用していたサポートプランや、パソコン本体・スマホ本体など機材の代金ふくめて、計約21万にものぼったということだ。
この内容が12月下旬、一部ネットニュースの記事になると、同社の株価は大幅に下落した。PCデポの運営会社「株式会社ピーシーデポコーポレーション」は12月6日、社内調査で、「正規の対応であることが確認できた」と発表した。
同社は、最終的な解約料は、機材の返却によって約4万6000円まで減額されたとしている。はたして、今回のような解約料は法的に問題ないのだろうか。消費者問題にくわしい岡田崇弁護士に聞いた。
「今回は、昨年問題となった事例、つまり高齢者を高額サービスに加入させていた事例とは、内容が異なると考えます」
どのようなところが違うのだろうか。
「今回のケースは、サポートプラン(プレミアムサービス・ファミリーワイドプラン)、iPhone6sの販売、光回線、VAIO(パソコン)の販売、中継器の販売といった違約金の合計で約21万円になっています。
昨年の事例では、高齢の契約者本人が認知症を患っており、その息子からその旨の指摘をされていたにもかかわらず、再度契約をしていたことや、本人が提供されたiPadをまったく利用しておらず、本人にとって必要のないコンテンツ契約を大量にさせていたといった事情がありました。
今回も最大10台を想定したサポートプランが適切か、光回線の違約金が7万1000円と高すぎるのではないかといった問題点はあります。
しかし、光回線の違約金については、それと引き換えに商品が割引になっているのではないかという話もあります。また、そのほかの違約金については、類似の契約と比較してそれほど高価かどうか疑問です」
それでは、まったく問題がないということだろうか。
「2015年に改正された法律で、電気通信事業者および代理店には、サービス提供条件の概要の説明義務が課されており(電気通信事業法26条)、高齢者、障がい者、未成年などについては、特に配慮が必要とされています(適合性原則)。
具体的には、利用者が当初購入する意図のなかった電気通信サービスについて勧誘する場合、その利用実態などを踏まえて、十分に契約内容を理解し、そのサービスを必要とするかどうかを含め、利用者が適切に判断するような説明をおこなうことが重要である、とされています(同法の消費者保護ルールに関するガイドライン)。
今回のケースについては(契約時は法改正前ですが)、同じように、個々の契約がそれまでの利用実態から見て、本人にとって必要だったか、店舗が違約金の説明をどの程度おこなっていたかなどを吟味する必要があります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
岡田 崇(おかだ・たかし)弁護士
日本弁護士連合会・消費者問題対策委員会委員
事務所名:岡田崇法律事務所
事務所URL:http://www.okadalaw.jp