2017年12月19日 10:02 弁護士ドットコム
TBSアナウンサーの吉田明世さん(29)が12月3日、進行役を務める朝の情報番組「サンデー・ジャポン」の生放送中に体調不良で退席した。10月29日にも貧血を理由に退席していたことから心配する声も多かったが、吉田さんは12月3日、妊娠していることを自身のSNS(twitterとinstagram)上で公表した。安定期に入る前の不安定な時期だったという。
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12月10日の放送では、自宅からの生中継で出演して、12月17日の放送では、マタニティチェアに座って進行した。また、年内で番組を卒業することも発表された。
従業員が妊娠した場合、会社にはどのような責任が生じるのだろうか。高木由美子弁護士に聞いた。
「雇用主は、妊娠中の女性労働者が、医師から指導された事柄を守ることができるよう、必要な措置を講じる義務があります(男女雇用機会均等法13条)。妊娠中の通勤緩和、休憩に関する措置、症状等に対応する措置などがあります」
高木弁護士はこのように述べる。具体的にはどのようなものか。
「妊娠中の女性労働者が医師の指導で通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮等)や、休憩をとる必要がある場合、雇用主は、それを認める必要があります。
医師から明確な指導を得ていなかった場合でも、雇用主が、その仕事内容などをふまえ、医師に確認して、女性の通勤緩和や休憩を認める措置をとらなければなりません。
また、症状について医師から指導を受けている場合、作業の制限や勤務時間の短縮、休業等の措置を講じる必要があります」
今回のように番組を途中退席せざるをえなくなった場合、会社側はどう対策する必要があるのか。
「体調不良の際に、会社がすぐに途中退席を認めたことは適切だったと思います。ただ、もし、事前に会社が妊娠について知っていたのであるなら、予め、もう少し妊婦に配慮した無理のない勤務体制にするべきだったのではないかと思います。
妊娠中の悪阻などで、いつどれくらいどのように体調が悪くなるのか、またはならないのか、人によって全く異なり、妊婦自身、予想が出来ません。また妊婦は、周囲や産休復帰後のことを考えて、周りに迷惑をかけたくないと思って、無理してしまうことも多々あると思います。
そのため、会社自身が妊婦に配慮した職場環境を整えることは当然の会社の義務であることを理解し、従業員にも周知徹底し、妊婦が過度に気をつかうことなく、無理のない勤務が続けられるようにする必要があります。
このように妊婦に配慮した体制を整えることで、有能な女性が妊娠中に退職することを予防できたり、有能な女性が妊娠出産について心配することなく入社してきたりと、有能な人材を集め、留めることができ、会社にとっての利益は図りしれません。
なお、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法の改正により、今年1月から、企業は、職場でのマタハラ(妊娠・出産。育児休業等を理由とした嫌がらせ)を防止する措置を取ることが義務づけられていますので、職場ではより一層、妊婦への配慮が求められています」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
高木 由美子(たかぎ・ゆみこ)弁護士
第一東京弁護士会所属。米国・カリフォルニア州弁護士
事務所名:さつき法律事務所
事務所URL:http://www.satsukilaw.com/