アベノミクスもあり日本経済の景気は上向き。有効急人倍率もバブル期の1.48倍を超えて人手不足が騒がれているし、消費者物価指数やGDPも上向いて、にわかに景気がよくなった雰囲気が漂ってきた。
景気の先行指標である株、そして株と密接な関係にある為替の値動きは2017年末から年明けに向けてどんな値動きが予想されるのだろうか。(文:中村直人)
日経平均2万4000~5000円台にもっていけるか
株の個人投資家として億を超える資産を保有している近藤圭太氏(仮名・42歳)はこう話す。
「10月中は連日上がっていましたね。日経平均株価も久々に2万3000円台をつけましたがそれほど驚く水準ではないと思っています。足元の景気は悪くないですからね。
むしろ、相場的にはもう節目となる高値が史上最高値の3万8915円しかないんです。相場を知らない人からはバブルと揶揄されたりもしますが、株価の割安割高を測るPERという指標ではまだ14~16倍程度です。バブル期のPERは60~70倍であったことを考えればまだまだ。それに、バブル期の不動産は日本全国あまねく上がっていましたが、今の不動産市況は都市部の利便性がよい土地ぐらいしか地価が上がっていませんからね」(近藤氏)
近藤氏の見立てでは、今後日経平均はまだまだ上昇する可能性があるという。
「大相場となる末期には、銀行などの金融株、建設関連株、リース株が上がる。銀行株などはマイナス金利の影響もあり、低迷しています。この分野を注視しておけば面白いはず。上がっていくなら、まだまだ日経平均は上昇する余地があると思います。正確には予想できないですが、これから2万4000~5000円台もまぁ視野に入れていいでしょう。ただ、年に1回くらい何かしらの事件があって暴落がありますから、一本調子ではないと思いますけどね」(近藤氏)
北朝鮮問題は「単なるミサイル発射程度では驚かなくなっている」
他方で為替の様子はどうだろうか。自動売買のFXシステムを動かしている佐藤友則氏(加盟・37歳)はこう話す。
「今年の米ドル/円は110円を境に行ったり来たりでしたね。でも、方向としては115円台に向けた円安に向かっていたように思います。2017年末から2018年に向けてもちょっと予想がしにくい。というのも、アメリカの金融政策がこのまま金利を上げるかどうかが不透明になってきているんです。金利を上げないとなれば、日本円との金利差が開かないので円高方向に振れる可能性がある。影響が未知数なのでなんとも言えないのが現状ですね」
そして目下の心配事は北朝鮮を巡る地政学リスク。折しも、11月末にも北朝鮮はミサイルを発射して日本や米国に対して挑発を続けている。前述の近藤氏は北朝鮮情勢についてこう続ける。
「北朝鮮に関しては正直、どんな行動を仕掛けてくるか読めない。したがって、マーケットに与える影響も正直、予測はできません。とはいえ、市場も慣れてきていますね。7月から9月にかけてミサイルが発射されると大きく為替が反応し日経平均株価にも影響がありましたが、今回は限定的。単なるミサイル発射程度では驚かなくなっているのが現状です。今後、2017年年末にかけてアメリカ軍が金正恩の斬首作戦を結構するとの噂も出ていますがあくまで噂レベルです。株価下落のリスクに備えておくのは必須でしょう」(近藤氏)
相場の方向感は完全には予想できないもの。ひとまずの参考にしてみてはいかがだろうか。