マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエが、ホンダと別れることもやむを得ないと感じた瞬間について明かすと共に、2018年からライバルになるホンダがトロロッソとともに成功を収めることを願うと語った。
2015年にスタートしたマクラーレン・ホンダのパートナーシップは、期待したような結果を出せないまま、2017年末で終止符を打つことが決まった。
3年目の今年、ホンダはパワーユニットのデザインを大きく変更、それによりプレシーズンテストからトラブルが多発した。ブーリエは、その時点で2017年にも浮上することはできないと悟り、首脳陣に対して、それによってチームが被る悪影響について訴えたという。
Formula1.comのインタビューにおいて、2017年2月のバルセロナテストで起きたことについて聞かたブーリエはこう答えた。
「私は首脳陣のところに行き、データを見せて、『我々はこのような1年をまた繰り返すことを受け入れるわけにはいかない』と話した」
「ホンダとの最初の年は困難なものだった。2年目もタフだった。3年目には大きな進歩があり、我々にふさわしい位置に戻れることを期待していた。ところがバルセロナで、我々は後退してしまうだろうことが分かった。それは我々の選択肢になかった」
「さらに1年、いい結果を出せなければどうなるか、そうなればスタッフが流出することになると、首脳陣に対して警告した。我々は3年間かかって体制を変更し、新しいチームを作ってきた。優れた人材、勝つことに慣れている、力のある人材を新たに雇い入れていた。しかし低迷が続けば、そういったスタッフを失う恐れがあった。チームの顔はドライバーであり、彼らによってチームが認知される部分が大きいが、私が本当に恐れたのは、優れたスタッフを失うことだった。そういったことをシーズンの初期に話し合った」
しかし、マクラーレン・ホンダというパートナーシップで成功を収める夢を諦めるというのは難しい決断だったとブーリエは言う。
「大きな決断を下すのは常に難しいものだ。ホンダとともに勝つというマクラーレンのコンセプトは、全員にとっての夢だった。美しいストーリーだった。今も彼らに対しては大きな尊敬の念を抱いている。わめいたり非難したりして、諍いのなかで別れたわけではない。全員がプロフェッショナルな振る舞いをし、最終的にビジネスとしての決断を下した。彼らはそれを理解している。望んでいたような形でうまくいかなかったことに悲しみを感じる。マクラーレン・ホンダはブランドとして非常にうまくフィットしていた。だが結果を出せなかった」
2018年からマクラーレンはルノーと、ホンダはトロロッソとそれぞれ組んでF1活動を続けていく。
「彼ら(ホンダ)の幸運を祈っている。成功してほしいと思っているよ。我々を超えない程度にね!」と言ってブーリエは笑った。
「この3年、必死に努力してきた。だが成長とタイミングの面でうまくいかなかった。それが事実だ。彼らは進歩し続けるだろう。そしていずれ成功を収める可能性がある。別のタイミングでね。F1の世界は変化が速い。F1の変化のスピードが企業のスピードと合わないことが時にはあるのだ」