パーソル総合研究所は12月14日、働く1万人の成長実感調査の結果を発表した。調査は今年3月末、全国の15歳から69歳の男女1万人を対象に実施。所属する組織の状況や勤務制度、就業満足度や、転職状況、仕事を通じた成長などを聞いた。
その結果、出世意欲は42.5歳を境に「出世したいと思わない」が「出世したい」を上回り、その差は年々開いていくことが判明した。
出世以外の動機を見つけられるかどうかが、その後のキャリアにおける成長に影響
さらに45.5歳頃になると、キャリアの終わりを意識し始める人が多数派になる。出世意識の変化とキャリアの終わり意識の伸びが始まる40代は、就業人生の中でも大きな転換点と言えそうだ。
しかし、定年が65歳だとすると、出世意欲を無くし、キャリアのゴールを考え始めてから仕事を引退するまで20年もある。人生100年と言われる現代では、それ以上長く働く人も多いだろう。このためリリースでは、「出世の他に仕事への動機づけを見つけられるかが、その後のキャリアにおける成長を左右する一因となる」と分析している。
調査では、成長を重視しているかどうか(成長志向)と、成長を実感しているかどうか(成長実感)とを聞き、両者にどの程度差があるかも調べた。その結果、成長意欲は全ての世代で50%前後と高かったが、成長実感は40代から50代にかけて、特に45歳から59歳までで大きく減少していた。
「数年単位で心理状態が揺れるせいで、目の前の仕事のやりがいが見えにくくなっている」
調査を行ったパーソル総合研究所は、ミドル・シニアが成長を実感できないのは、「体力不安」、「仕事の多忙さ」、「やりがいの喪失」が理由だと指摘する。
自身の健康状態について「重篤な持病がある」「肥満状態にある」と答えた割合は40代後半から上昇した。また、体力の衰えを感じている人の割合は、50代後半から急激に増えている。
「仕事の多忙さ」は40代後半で多く上げられていた。これは実際に残業時間が多い層とも重なるため、成長を実感するための内省機会を失ってしまっているのではないかと指摘する。
「仕事のやりがいを感じられないから」との回答は、特に40代後半と50代後半で多かった。40代中盤以降はキャリア観・出世意欲が大きく変動し、50代後半になると管理職やその他の役職から降りる「ポストオフ(役職定年)」を経験する人も多い。そのため、「数年単位で揺れ動いていくミドル・シニアの心理が、目の前の仕事に『やりがい』を見えにくくしているようです」と分析していた。