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『最後のジェダイ』一強の正月興行に 一矢報いるのはどの作品か?

2017年12月14日 17:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 正月興行の本番が近づいてきた先週末の動員ランキングは、上位4作品が初登場。1位となったのは『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』。土日2日間で動員30万3100人、興収3億5900万円で初登場1位。2位の『DESTINY 鎌倉ものがたり』は動員23万1500人、興収2億9700万円、3位の『オリエント急行殺人事件』は動員16万9100人、興収2億2600万円と、週末の数字ではかなり差がついているが、ウィークデイに入ってからの動きをみると、ほとんど三つどもえの争いとなっている。作品ごとに検証していこう。


参考:「間違いなく僕自身の映画だ」 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ライアン・ジョンソン監督インタビュー


 1位『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』の初動の数字は、昨年同時期公開の『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』の興収比130.1%という好成績。これは、今や一般の実写作品でも主演クラスの福士蒼汰(仮面ライダーフォーゼ)をはじめとして、歴代のレジェンドライダーがオリジナル俳優で勢揃いしていることが影響しているのだろう。ただ、親子連れの観客が中心の『仮面ライダー』の集客はこれまでも極端な週末偏重で初動型。今回もその傾向は変わらないので、まずは10億円の大台が目標となるだろう。


 2位の『DESTINY 鎌倉ものがたり』の初動の数字は、同じ山崎貴監督作品としては昨年同時期公開『海賊とよばれた男』の興収比103%とほぼ同じ。東宝×正月映画(12月公開作品)×実写×山崎貴監督作品という座組では、2010年の『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、2013年の『永遠の0』、そして昨年の『海賊とよばれた男』に続いてこれが4作目。興収87.6億円の大ヒットとなった『永遠の0』に対して興収約23億円の『海賊とよばれた男』と、興収は大きく下降していたが、ここで下げ止まったかたちだ。もし『海賊とよばれた男』を超えて25億円近くの興収にまで届けば、今後、「東宝の正月映画は山崎貴作品」という定番化がさらに強固なものになるかもしれない。


 3位の『オリエント急行殺人事件』は、ある年齢以上の映画ファンならテレビの洋画劇場などで誰もが一度は見たことがあるアガサ・クリスティ原作のミステリー作品のリメイク。観客の年齢層の高さで『DESTINY 鎌倉ものがたり』と食い合うかと思いきや、上位3作品の中で本作だけ金曜日公開だったこともふまえると、なかなか好調なすべりだしと言えるだろう。今週水曜日のレディース・デイでは劇場によって『DESTINY 鎌倉ものがたり』を上回る成績を記録するなど、意外な動きも見せている。


 とはいえ、12月15日金曜日には(スピンオフ作品を除いて)2年ぶりのシリーズ最新作となる『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の公開が控えている。木曜の最速上映を筆頭に劇場の予約状況でも圧倒的な強さを見せているだけに、今週末以降の他の作品は、いかに『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』とかぶらない客層をつかめるかの勝負となってくるだろう。過去の山崎貴監督作品としては『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズのように年配層にアピールする可能性もある『DESTINY 鎌倉ものがたり』、今後も女性客の集客に期待できそうな『オリエント急行殺人事件』、いずれも正月映画の伏兵となる条件は十分。今後の動向に注目していきたい。(宇野維正)