マクラーレン・オートモーティブは現在、世界各地のGT3レースで活躍する『マクラーレン650S GT3』に代わる次世代型GT3マシン『マクラーレン720S GT3』の開発テストを2018年から開始すると発表した。また、同年から開始するドライバー育成プログラムについても詳細を明らかにしている。
2010年にデビューしたマクラーレン初のGT3カー『MP4-12C GT3』、その次世代モデルとなる『650S GT3』によって、AsLMSアジアン・ル・マン・シリーズや欧州で開催されるブランパンGTシリーズ・エンデュランスカップ、北米のPWCピレリ・ワールド・チャレンジ、豪州のリキモリ・バサースト12時間レースなど、世界各地のGT3カテゴリーで成功を収めてきたマクラーレン。
3大陸、4地域でタイトルを獲得し、GTレースにおける確固たる地位を築いてきたイギリスの名門マニュファクチャラーは、次のステップとして同社の新型ロードカー『720S』をベースとするGT3レーサー『720S GT3』を2019年にカスタマーチームを通じて実戦デビューさせることを目指している。
開発が進められている新型マシンは、ロードカーと同様にカーボンモノコックを採用するとともに4.0リッターV8ツインターボ(M840T)エンジンを搭載。ただしエンジンはレーシング仕様となっているほか、カーボンファイバー製ボディのエアロダイナミクスも最適化された。
また、トランスミッションはモータースポーツ用6速シーケンシャルが用いられ、足回りには調整可能なダンパーとコイルスプリングがフロントとリヤ、それぞれに使用されている。このほかにもインテリアをはじめとするパッケージ全体にわたって、マクラーレンがこれまでに参戦したGTレースを通じて培った知識と技術が注ぎ込まれるという。
■次世代を担う若手ドライバーの育成プログラムを開始
マクラーレンは新型モデルの開発と同時に近年、自動車メーカーが力を入れている人材育成にも力を入れ、若手ドライバーの育成プログラムを開始する。
若き才能を選び抜き、未来のマクラーレン・ワークスドライバーを育成する場となる同プログラムでは、モータースポーツ関連やドライバーとしての教育をサポート。
具体的にはマクラーレンのワークスドライバーであるロブ・ベル率いるコーチ陣から肉体面および食事面での評価や、PR、マーケティング面での指導のほか、シミュレーターでのドライブ、テレメトリーのデータ解析、レース戦略を理解するためのエンジニアリングチームとのセッションといった総合的なドライビング指導も行われるという。
プログラムの初年度となる2018年は、マクラーレンと関係のあるドライバー養成所からジョーダン・アルバート(21歳)、チャーリー・ファッグ(18歳)、マイケル・オブライエン(22歳)、ルイス・プロクター(21歳)という4名のイギリス人ドライバーが選抜され、この4人が『マクラーレン570S GT4』を使ったドライビングプログラムなどを通じて互いに競い合う予定だ。
なお、2018年には翌年から実施する国際ドライバー育成プログラムに参加するドライバーの先行が開始されるが、詳細については来年1月以降に発表される。
「マクラーレン・オートモーティブ・ドライバー育成プログラムは、才能ある若きドライバーたちがモータースポーツでの大志を実現するのを支援するために立ち上げられものだ」と語るのはマクラーレン・オートモーティブのマイク・フルーウィットCEO。
「我々は才能があれば生い立ちには関係なく、彼らを導き、レーサーとしての技能を育てたいと思っている。これらのドライバーは、耐久レースにおける当社の未来であり、今年選ばれた4人は全員がマクラーレンのサポートを受け、GT選手権の優勝者になる可能性がある、と信じているんだ」
「2018年シーズンにロブ・ベルがワークスドライバーとしてチームに参加してくれるのもうれしく思っているよ。彼の知識と経験は、大きな恩恵をドライバー育成プログラムにもたらすはずだ』
そんなベルに対して、フルーウィット氏は「彼ならば『720S GT3』はこのクラスの過去のモデルの成功を土台にして作られたクルマであり、GT界の最高レベルで競い合い、勝利できるクルマであるということを証明してくれるだろう」と期待を寄せている。