2017年12月14日 10:22 弁護士ドットコム
横綱日馬富士が11月29日、貴ノ岩への暴行問題をきっかけに、現役を引退した。そこで気になるのが、退職金の問題だ。
【関連記事:「タダで食べ放題」相席居酒屋で、大食い女性に「退店して」――店の対応は許される?】
スポニチの記事の推測によると、日馬富士の引退によって相撲協会から支給される退職金は5000万円を超え、特別功労金も5000万円程度支給される。さらにそれらに加えて懸賞金の積み立て金1億円を合わせると、合計2億円にもなる可能性があるという。
その全貌は明らかではないが、日馬富士の退職金に、税金はどれくらいかかるのか。佐藤全弘税理士に税金の仕組みと試算結果を聞いた。
国税庁のHPに「退職手当等には、退職したことに基因して支払われる全ての給与が含まれますので、本来の退職手当のほかに功労金などを支給しても退職手当等に含めなければなりません」との記載があります。このため、退職金として課税対象となるのは、懸賞金の積み立て金を除いた1億円になります。
退職金に対する税金は所得税と住民税で、以下の算式にて計算されます。
<所得税>
(1)(退職金 - 退職所得控除額(※1))×1/2(※2)=退職所得の金額
(2)((1)×税率 - 控除額)×102.1% 税率は速算表を参照
(※1)勤続年数に応じて、控除額が変わります。
・勤続年数20年以下・・・・40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)
・勤続年数20年超・・・・・・800万円×70万円×(勤続年数 - 20年)
(※2)役員等勤続年数が5年以下である人が支払を受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては、上記算式の1/2の適用はありません。
<住民税>
所得税の(1)(退職所得の金額)×10%
上記のように、退職金の税金は勤続年数に応じた退職所得控除や所得の1/2課税など、給与などと比べ税金面で優遇されており、原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。
日馬富士の退職金が公表されていないため、あくまでスポニチの記事にある数字が支給されると仮定して、計算してみましょう。勤続年数の起算点(入門時なのか、十両昇進時なのか)が明確ではないので、日馬富士の場合、とりえあず15年の勤続年数と仮定して計算すると、
<所得税>
(1)(100,000,000円-400,000円×15年)×1/2=47,000,000円
(2)((1)×45%-4,796,000円)×102.1%=16,697,434円
<住民税>
47,000,000円×10%=4,700,000円
合計 16,697,434円+4,700,000円=21,397,434円
以上です。相当ざっくりしていますが、おおよその金額のイメージはつかめたのではないでしょうか。
【取材協力税理士】
佐藤 全弘(さとう・まさひろ)税理士
お客様の立場にたって、わかりやすい税金を目指すとともに付加価値の高いサービスを提供することをモットーとしてお客様のニーズに応えられるパートナーを目指します!
事務所名 : 佐藤全弘税理士事務所
事務所URL:http://satouzeirishi.com/
(弁護士ドットコムニュース)