日本一決定戦で、小倉祥太が大接戦の末、2位表彰台!
スタートで接触があった上田裕也も、しぶとく完走
S-FJ日本一決定戦
12月9日(土)~10日(日)鈴鹿サーキット5.807km
ル・ボーセモータースポーツが挑むカテゴリーのひとつ、スーパーFJの日本一決定戦が、12月9(土)~10日(日)に、鈴鹿サーキット(三重県)で開催され、小倉祥太と上田裕也が出場した。
これまで、もてぎシリーズに参戦してきたふたりだが、小倉は開幕からすべてポール・トゥ・ウィンで4連勝を飾りチャンピオンを獲得。10月のF1日本GPのサポートレースとして開催されたドリームカップでは、初めての鈴鹿でのレースながら、一時トップを走行し、見事2位表彰台を掴むなど地元のライバルを相手に速さを見せた。
一方の上田も、もてぎシリーズは第3戦からのエントリーとなったため、2戦の出場になったが、3位、4位と連続入賞を果たし、小倉と切磋琢磨しながら経験を積んだ。
そんなふたりが挑む今回の日本一決定戦、各シリーズの強者たちも出場するなかで、ふたり揃って表彰台を勝ち取ることが期待された。また、日本一決定戦は例年どおりトーナメント形式で開催され、A・Bのグループ分けのもと予選、6周によるレース(第1レグ)を行い、第1レグを勝ち上がったものがファイナルレースを争う。
予選
12月9日(土)
天候/曇り コース状況/ドライ
このレースウィークの走り始めは金曜日からで、20分間のセッションが2本と、少ない走行時間となったが、各々鈴鹿の走り方を確認しながら周回を重ね、土曜日は前日の雨の影響で、ところどころウエットパッチを残す路面状況のなか、A・Bの2グループに分けられたBグループから小倉、上田ともに予選に挑んだ。
タイヤに熱を入れ、タイミングを見定めながらのアタックで小倉はトップに浮上すると、コンディションの向上とも合わせてタイムを刻み続ける。ラストアタックこそシケインでのオーバーランがあり、チェッカーを受けずピットに戻ることとなったが、最後までトップを守り続けた結果、Bグループのポールポジションを獲得する。
上田も順調にタイムを縮めていったが、途中130Rでスピンがあり、マシンにダメージこそなかったが、コースアウトして砂利を拾ってしまったため、一度ピットに戻って清掃。再度コースインして、ラストアタックで7番手を獲得し、午後からの第1レグはふたり揃ってシングルからのスタートとなった。
第1レグ
12月9日(土)
天候/曇り コース状況/ドライ
午後の第1レグは路面も完全に乾いて、6周の戦いを迎えた。ポールポジションからのスタートとなった小倉は、一瞬2番手のドライバーに先行を許すが、1コーナーへのホールショットに成功する。
オープニングの1周だけで後続にコンマ7秒の差をつけた小倉は、そのままアクセルを緩めることなく逃げ続け、ラスト2周はファステストラップも連発、最終的に2秒半の差をつけてトップでチェッカーを受けた。
対照的に上田はスタートを決めることができず8番手からの発進となるも、6番手を争う集団の中でバトルを繰り返しながら周回を重ねていく。まわりは鈴鹿をホームコースとするドライバーばかりであったが、少しも臆することなく戦い続けた結果、8位でフィニッシュした。
なお、Aグループはスタートディレイの影響で1周減算となったため、5周目通過時のトップのトータルタイムでイン側に並ぶか、アウト側に並ぶか決められたが、優っていたのはBグループの小倉だったことから、ファイナルのポールポジションも獲得。上田も有利な、アウト側のグリッド8列目からスタートを切ることとなった。
ファイナル
12月10日(日)
天候/曇り コース状況/ドライ
40台ものマシンが並ぶ先頭に、小倉が堂々と位置につき、その後ろ8列目に上田もマシンを並べ、その時を待った。しかし、注目のスタートでいきなり明暗が分かれる。
小倉が好スタートを切って1コーナーにトップで飛び込み、コーナーをひとつクリアするたび後続との差を広げていったのとは対照的に、上田は後続車両にタイヤをヒットされて、サスペンションにダメージを負ってしまう。
そんななか、第1レグ同様、小倉には先行逃げ切りの期待がかかるも、オープニングラップのヘアピンで接触があり、1台がコース上にストップしていたため、セーフティカーが1周だけながらコースイン。これにより、築いたマージンから振り出しに戻るが、小倉にとって、SCラン後のリスタートはスーパーFJでは初体験でもあった。
しかし、リスタートをしっかり決めた小倉は、ふたたび1コーナーにトップで飛び込んでいく。背後には鈴鹿シリーズでチャンピオンを争っていた2台を置くも、4番手以降は間もなく遥か彼方へと離し、緊張感に満ちたトップ争いを演じていく展開へ。
4周目に、スプーンの立ち上がりでのシフトミスで、2番手に差をピタリと詰められ、ホームストレートでスリップからの抜け出しでトップを奪われるが、今度は小倉が後ろにピタリと食いつき、7周目の130Rでアウトから抜きにかかるも、ストレートでふたたび先行を許す。
その後も9周目のスプーンで並ぶが、相手も鈴鹿を知り尽くしているため、一進一退の展開を見せる。最終ラップも絶えず挑み続け、最後のシケインでは前に出かけるが、抜け出せず、そのままストレートを並んで立ち上がるものの、0.2秒差の2番手でレースを終えた。
一方、上田はスタート直後の接触でハンドルが曲がった状態となり、まっすぐ走るのも困難な状況において、バトルを繰り返しながら着実に順位を戻していく。そのような状況でも、最終的に6台抜きを果たして25位でフィニッシュし、気迫のこもったレースを見せた。悔しさが残ったからこそ、その思いをふたりとも来シーズンに結びつけてくれることを期待したい。
コメント
チーム監督 坪松唯夫
「今年最後となる日本一決定戦は非常に見応えのある良いレースだった。小倉のファイナルレースでの結果は2位となったが、如何なるコンディションでも地元勢より速く、鈴鹿のレースを経験したことで、またひとつ彼の可能性が広がったと感じている」
「上田はスピンや接触などで気持ち的に空回りした部分が多く課題は残されたが、ここから這い上がることで強くなれると信じ今後に繋げて欲しい。若いドライバーが頑張る姿は、我々底辺レースを支える者にとって『やりがい』と『刺激』を貰える。今シーズン以上に来シーズンが楽しみでならない」
ドライバー 小倉祥太
「予選と第1レグまでは自分の速さを、しっかり出せたとは思いますし、ファイナルに関してもスタートはそれほど悪くなく、1コーナーまでに順位を落とすことなくいけたので、そこは今回の良かった点でもあります」
「ただ、SCが出たのは想定外で、初めてのSCということで、ある程度カートのローリングスタートの経験や、テレビで見ていたことを思い出して、自分のできる最大限のリスタートが決められました」
「しばらくはSCが出る前と同じような間隔を保つことができていたのですが、何度かスプーンの立ち上がりでシフト関係の細かいミスが出てしまって、それでスピードが伸びなかったがゆえに、スリップストリームを使われて、そこから自分の思い描いていた逃げ切り作戦ができなくなってしまいました」
「日本一決定戦で勝つことをずっと今年の目標としてやってきたので、優勝こそできませんでしたが、トップ争いをあれだけできたことはすごくためになりましたし、いい経験でした。この悔しさは来年、必ず晴らします」
ドライバー 上田裕也
「予選でスピンしてしまって、それでタイヤに大きなフラットスポットを作ってしまったことで、すべての流れが崩れてしまったように思います。レグ1のスタートも良くなかったですし、フラットスポットのおかげで特にブレーキングで行けず、単純なスピードでは負けていない相手にすら、勝負になりませんでした」
「さらにファイナルではスタートでホイールスピンさせすぎて出遅れ、その時に後ろのクルマにタイヤを当てられて、ハンドルが曲がった状態になってしまいました」
「もう、それがすべてで、10周ずっと思うようにペースを上げられず、悔しさだけが残るレースでした。でも、この悔しさを来年の開幕戦にぶつけられるよう、このオフに自分をしっかり磨きます」