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ARキット、楽器アプリ KAGURA…発展していくAR技術は音楽とどう関わる?

2017年12月12日 20:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 今やテクノロジーを語る上で欠かせない存在となったVR。その一方で、iPhone XのAR機能が強化され、AppleからARアプリを手軽に制作できる開発者向けツール・ARKitがリリースされるなどARもより身近な存在になりつつある。そこで最新ガジェットにも詳しい、音楽ライターの照沼健太氏に今後のARと音楽の関わりについて話を聞いた。照沼氏はまず、ARとVRの違いについて以下のように語る。


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「ARは現実を拡張するということなので、その場所にいることに意味がある。家でARアプリなどを起動するのとライブ会場で起動するのでは全く異なります。ライブ会場でスマートフォンなどを通して見ることで、新たな演出が見られるようになったりするのではないでしょうか。これに対してVR(仮想現実)は、どこにいても同じコンテンツを体験することができるという特徴があるので、今後は立体的なMVや、ライブを疑似体験するコンテンツが増えていきそうです」


 現在ARアプリでメインとなっているのは、ユーザーの部屋に実物大の家具を映すIKEA Placeなど実用的なものや、現実世界に恐竜の映像を映すdinosARなどのゲーム要素の強いもの。音楽と連動したARアプリはまだ発展途上ではあるが、KAGURAなどの楽器アプリが注目される。KAGURAは画面に表示される楽器を触ると音が鳴る仕組みだ。照沼氏が「例えば、鍵盤を写したら次にどのキーを押すかなどを教えてくれるようになるのでは」と予想していたように、ARは楽器が弾けない人も気軽に音楽を楽しめる技術としても期待できる。


 最後に照沼氏はこれからの音楽とAR、VRについて以下のように語った。


「今は動画や写真を撮るためにスマートフォンを持ってライブを観に行くようなイメージですが、AR技術の発展によって、今後はライブ中に目の前の演出や演奏している曲の情報を見るためにスマートフォンを使うようになる可能性もあります。個人的にはVR用のカメラで撮影したアーティストのレコーディング風景など、アルバムができていく過程を見られるドキュメンタリーがあると作品をより立体的に楽しめるのではないか、と思います」


 最近ではVRとARを発展させたMR(複合現実)なども話題だが、今後はARKitを活用し、ユーザー側から新たなアイデアが生み出されていくことも予想される。アーティスト側はこうしたテクノロジーを音楽にどう活かし、作品に新たな深みを与えていくのだろうか。(村上夏菜)