ポルシェは12月9日、日本やヨーロッパなど世界各地で開催されているFIA GT3カテゴリーへのワークス参戦体制を発表した。これと同時に同社のGT3マシンである『911 GT3 R』の2018年型アップデートキットに関する情報も明らかにされている。
ヨーロッパを中心に開催されているブランパンGTシリーズや日本のスーパーGT300クラス、北米のPWCピレリ・ワールド・チャレンジをはじめブリテッシュGTといった国内選手権など、世界各地で開催されているGT3レースに早くから参入し、カスタマーチームへのサポート、ならびにワークスチームとしての参戦を行なってきたポルシェ。
今回の発表でポルシェは、2018年シーズンのブランパンGTシリーズ・エンデュランスカップに初めてワークスチームとして参戦すると同時に、トタル・スパ24時間レースなどをシリーズに組み込むIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジにもフル参戦することを発表した。
また、ニュルブルクリンク24時間に総勢9台の『ポルシェ911 GT3 R』を投入するとアナウンスしたほか、北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ(WSCC)のGTデイトナ(GTD)クラスへの参戦も決定している。
初のワークス参戦となるブランパンGTでは、長年にわたってポルシェとパートナーシップを結んでいるマンタイ・レーシングからディルク・ベルナー/ロマン・デュマ/フレデリック・マコウィッキのワークスドライバートリオが参戦。この3名はIGTCにも同じラインアップでフル参戦する。
なお、スパ24時間以外のIGTC各ラウンド、バサースト12時間、鈴鹿10時間、カルフォルニア8時間(ラグナセカ)では現地のローカルチームと協力体制を敷き、少なくとも1チーム以上をプロクラスに送り込む予定だという。
■『911 GT3 R』のアップグレードキットが登場
プロクラス5台、アマチュアクラス4台の計9台をサポートするニュルブルクリンク24時間については、現時点でマンタイ・レーシングが2台体制でワークスカーを運用することが発表されており、911号車ポルシェにアール・バンバー/ローレンス・バンスール/ケビン・エストル/パトリック・ピレの4名が搭乗予定だ。
また僚友の912号車ポルシェにはデュマ/マコウィッキに加えてリヒャルト・リエツ/ニック・タンディがラインアップされている。現段階で残りの布陣については触れられていないが、ポルシェは5月12~13日に行われる24時間レースに13名のワークスドライバーと4人のヤング・プロフェッショナルドライバーが参戦するとした。
ドイツを中心にシリーズを展開するADAC GTマスターズには2017年WEC世界耐久選手権チャンピオンとなったティモ・ベルンハルトが、実父と共同オーナーを務めるKUSチーム75ベルンハルトから参戦。ベルンハルトとエストルという強力ラインアップで王座奪還を目指す。
これまでもワークスドライバーを派遣する形で関わってきた北米のWSCC、GTDクラスではワークスドライバーのパトリック・ロングが、今季PWCピレリ・ワールド・チャレンジで所属したライト・モータースポーツとともに新規参戦することを発表。
WSCC初参戦となる同チームはロングのチームメイトには2016年から2年連続でGTDチャンピオンに輝いたクリスティーナ・ニールセンを迎える。なおデイトナ24時間、セブリング12時間などの長距離レースで起用される第3、第4ドライバーについては現時点で明らかにされていない。
2016年に実戦デビューを飾ったポルシェの最新型GT3レーサー『911 GT3 R』は日本のスーパーGT300クラスをはじめとする世界各地のGT3レースに投入されているが、2018年シーズンに向けてポルシェはマシンの性能を向上させるアップデートキットを発売する。
今回の発表ではキットの価格や発売時期、内容の詳細は明らかにされていないが、2016~2017年に販売されたGT3モデルを最新版に更新するものであるとされ、その内容には熱管理を最適化する新型フロントリッドと、エアロバランスを改善させるサイドフリックが含まれているという。