東大宇宙線研究所が販売する「スーパーカミオカンデジグソーパズル」が人気を集めている。岐阜県飛騨市にあるスーパーカミオカンデ施設内の写真を300ピースのパズルにしたもので、10月下旬の発売以降、難易度の高さと絵柄から完売が続出していた。当初は柏キャンパスと本郷キャンパスの生協でのみ取り扱う予定だったが、現在は東急ハンズ名古屋店や、施設のある飛騨市の道の駅等での販売も始まっている。
12月7日には朝日新聞が取り上げ、認知度が更に高まった。しかし、人気の陰で高額転売も相次いでいる。定価1500円のパズルが2倍から3倍の値段で売られている実態に、同研究所公式ツイッターは12月11日、中の人の個人的な意見と断った上で、
「反応が怖いですが言います。『高く買わないでください』」
と呟いた。
「広報と寄付が目的なのに、転売で価格が吊り上がるのにはもどかしさ感じる」
キャリコネニュースが「中の人」に話を聞いたところ、転売が最初に分かったのは11月半ばだという。フリマアプリメルカリで、4~5件が3000円から5000円の値段で売られていた。しかし、新聞で取り上げられて以降、他のオークションサイトを含め出品数が急増した。中には10ケース、30ケースとまとまった単位で転売されている例もあったそうだ。
編集部が12月12日正午に確認したところ、メルカリでは3000円や4000円で出品され、取引が成立していた。出品者は神奈川、岐阜、愛知など、取扱店が近くにある人が多い。楽天のフリルでは、6個セット1万5000円で取引されているものや、1ケース3万円の出品も確認できた。同研究所の担当者は転売について
「犯罪ではないし、高くても買いたいニーズがあるなら構わない、というのも分かります。ただ、一般企業であれば、生産量や販路の拡大もできますが、大学は営利目的の販売をしていないのでできません。広報と寄付を目的に売っている中、転売で価格が吊り上がるのは個人的にもどかしさ、歯がゆさを感じます」
と明かす。本来、パズルの売り上げは、製造コストや販売委託料を除くすべてが若手研究者の雇用や研究所の環境整備などに充てられるという。転売品を買っても、定価に上乗せされた分は転売者の懐に入るだけで、研究所の利益は一銭も増えない。
こうした事態を受け、パズルを返礼品としたクラウドファンディングの検討も始まった。営利を目的としない大学でも、「クラウドファンディングの寄附の、ひとつのリターンとしてジグソーパズルを後日お届けする、そんな仕組みならできるかもしれません」というのだ。
開始時期は未定だが、「学内の、寄付受け付けサイトの枠内で進めたいと思っており、現在そちらの窓口と調整中」とのことだった。