シリーズチャンピオンを獲得した近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R) GAZOO Racing 86/BRZレースの第10戦が富士スピードウェイを舞台に12月9日~12月10日に開催され、プロフェッショナルシリーズでは青木孝行(ケーエムエスフェニックス86)が今季2勝目をマークしたが、チャンピオンは近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)が獲得。クラブマンシリーズは今季チャンピオンを獲得した神谷裕幸(N中部ミッドレススノコ86)が優勝を飾った。
シリーズ最終戦となる今回はプロフェッショナルシリーズに35台、クラブマンシリーズに87台、合計122台がエントリー。また今回はTOYOTA GAZOO RACING FESTIVAL 2017と同日開催となり、グランドスタンドには多くのファンが詰めかけ、白熱のレースを観戦した。
クラブマンシリーズは12月9日に予選と決勝が開催。1年ぶりの参戦となる松原亮二(N群馬ジースパイス86)が2分04秒720を叩き出しポールポジションを獲得。前回の第9戦鈴鹿が悪天候で中止になったことにより、チャンピオンが確定した神谷裕幸(N中部ミッドレススノコ86)がフロントロウに並んだ。
スタートでは2台とも好ダッシュを決めるが、特にダッシュが良かった神谷がホールショットを奪いTGRコーナーを通過していく。
スタートでトップの座を明け渡してしまった松原だが、2周目のメインストレートでは間合いを詰め、神谷にプレッシャーをかけていく。
それでも、神谷は少しずつ松原とのギャップを広げてトップをキープ。一時は2秒近く離された松原だが、レース中盤に2分05秒台のラップタイムを連発し、神谷の独走を許さず。ふたりで後続を引き離し、一騎討ちの状態になっていった。
レース中盤はこう着状態が続いていくが、2番手の松原が8周目に2分5秒149のファステストラップを叩き出し、神谷の0.5秒後方に接近。最終ラップもテール・トゥ・ノーズの争いとなるが、神谷がしっかりとトップを守ってチェッカーフラッグ。
今季クラブマンシリーズでチャンピオンを決めている神谷がシーズンを締めくくるにふさわしい勝利を飾った。2位には松原、3位には小野田貴俊(ネッツ東埼玉ワコーズED86)が続いた。
優勝を飾った神谷は「予選は寒いコンディションで、なかなかギヤが合わなくて決勝は正直厳しいかなと思っていましたが、スタートでいいダッシュができて、そのまま逃げ切れたので良かったです」とコメント。
「でも松原選手が近づいてきたので、うまくタイヤをセーブして最後にスパートをかけられるようにしていました。今シーズンは……大変でしたね。でも、チャンピオンの決まり方がすごく微妙だったので、どうしても勝って決めたかったという気持ちがあったので、最終戦こうして勝つことができて良かったです」
一方、プロフェッショナルクラスは最終戦までチャンピオン争いがもつれ込み、注目が集まる一戦となった。
土曜日に行われた公式予選では、第9戦を終えてランキングトップを快走する近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)が、ライバルを0.2秒以上引き離し今季初ポールポジションを獲得した。
スタートでは、近藤がけん制にかかるが、2番手の服部尚貴(OTG DL 86)、3番手の谷口信輝(KTMS 86)が横に並びかけ3台並んで1コーナーへ。結局、服部がトップを奪うが、近藤もぴったりと背後につけオープニングラップを終える。
2周目のメインストレートで近藤がスリップストリームを使って、インに飛び込みトップ奪還。さらに3番手に上がった青木孝行(ケーエムエスフェニックス86)もコカ・コーラコーナーで2番手に上がり、逆転チャンピオンを目指し近藤を追いかけていった。
レースは4周目に入ると、上位2台が接近。青木が少しずつ間合いをつめ近藤に並びかけるが、冷静に抑え込みトップを死守していく。
それでも青木は諦めず5周目ではメインストレートでサイド・バイ・サイドに持ち込み、1コーナー立ち上がりでついに近藤を攻略。トップに浮上する。
さらに後方では谷口がダンロップコーナーで3番手に浮上。最終戦は手に汗握る白熱の上位争いとなった。
後半の7周目に入ると、青木が後続に対して徐々に差を広げ、逆に近藤は3番手の谷口に追い詰められ防戦一方の展開になってしまう。そしてファイナルラップに入ると両者の差は0.1秒となり、各コーナーで谷口が抜きにかかるが、近藤も必死のブロックで順位を死守し、最終コーナーを立ち上がっていく。
2周目にトップに立った青木は最終的に2.2秒の差をつけ、今季2勝目をマーク。2位には近藤、3位に谷口が続いた。
優勝した青木は「途中、近藤選手とのバトルでは、あまり無理をすると2台とも倒れになりそうだったので、後ろのマシンに抜かれないことを意識しつつ、それでも近藤選手がキツそうだったので、チャンスがあるところで確実に抜こうと考えていました」と、近藤とのバトルを振り返った。
残念ながらチャンピオン獲得に手が届かなかったが、「超ハッピーな週末になりましたね。最終戦だったので、やっぱり気持ち良く終わりたかったし、このレースに向けてチームにも無理を言って、かなりテストもさせてもらいましたし、ロングランを想定して練習もかなりやったので、その効果があったのかなと思います」と、この週末に向けて準備してきたことが功を奏したと笑顔を見せていた。
そしてチャンピオンを決めた近藤は「予選ではクルマも決まっていてポールポジションも獲れましたし、相手に対して差もつけられたので、できれば勝って(チャンピオンを)決めたかったところはありますが、無事に決勝レースを終えられて表彰台に上がれたのは良かったかな、と思います」と、チャンピオン獲得に安堵しつつも、どこか悔しそうな表情をみせた。
「予選の流れから、決勝もうまくいけるかなと思ったんですが、いざ走り出してみると『あれ?』という感じで、序盤からつらかったですね。シフトの入りも悪くて、青木選手に抜かれて離されていってしまいました。さらに後ろから谷口選手がきて、ラスト2周は生きた心地がしなかったですね。なんとか走り切れて良かったです」とレースを振り返った。
今シーズンは優勝こそなかったものの、第5戦十勝を除いてはすべてのレースでコンスタントにポイントを稼いできた近藤。
改めてシーズンを振り返ると「いやぁ、僕にとってはすごく長く感じたシーズンでした。そのなかでも、チームが素晴らしいクルマを用意してくれて、優勝はできなかったですけど、つねに表彰台に上がれるレースができたので、それがチャンピオンにつながったのかなと思います」と語っていた。