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BTCC:60周年の2018年に向け、早々に32台のフルグリッド参戦が確定

2017年12月11日 17:31  AUTOSPORT web

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創設60周年の記念すべきシリーズを迎える2018年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権
来季2018年で創設60周年の"ゴールデン・ジュビリー"を迎えるBTCCイギリス・ツーリングカー選手権。その来るべきシーズンに向けた参戦台数に関して、BTCCを運営するTOCAは早くもフルグリッドとなる32台のエントリーが集まったと発表した。

 公式エントリーリストは、例年3月の開幕前にドニントンパークで開催されるオフィシャルテスト、"メディアデイ"まで明らかにされることはないものの、チームは11月末までに2018年シーズンへのエントリー意思をオーガナイザーに申請する必要があった。

 エントリー申請が締め切られると、BTCC参戦に必要な"TOCA BTCCライセンス"が各チーム2台分に加え、通称"ローン"と呼ばれるTBL枠が2台分の、合計4枠が与えられる。

 グリッドに並ぶドライバー、マシンの詳細は今後各チーム単位で徐々に明らかにされていくものの、すでにいくつかのチームはその"ローン"の取引交渉を水面下で開始しているとみられる。

 現時点でエントリーを表明している有力ドライバーとしては、ハンディ・モータースポーツに所属する大ベテラン、ロブ・オースティンがアルファロメオ・ジュリエッタの新型NGTC車両を製作してシリーズに初投入。

 さらに、2017年に最後までチームBMRのスバル・レヴォーグGTとタイトル争いを繰り広げたウエスト・サリー・レーシング(WSR)のBMW125i Mスポーツ3台目のマシンをドライブする、元BTCC王者のアンドリュー・ジョーダン、そして今季から4台体制への拡大を目指しているチーム・HARD、ボビー・トンプソンらの名が挙がっている。

 その他、WTCC世界ツーリングカー選手権がTCRインターナショナル・シリーズと合流し、新たにFIA WTCRワールド・ツーリングカー・カップに変貌した影響を受け、WTCCでの活動を続けていたロブ・ハフ、トム・チルトンといった実力派イギリス人ドライバーも、母国のツーリングカー選手権への本格コミットを模索している。

 この2年間、フォルクスワーゲンCCを投入してきたチームHARDは、ボビー・トンプソンとの契約発表に加え、32台のフルグリッド・アナウンスがBTCCから成されたのと時を同じくして、共闘するブリスキー・レーシングとの提携を強化して本格的な4台体制を構築すると表明。

 その2台目のドライバーに、2017年のルノー・クリオ・カップUK王者でBTCC経験もあるマイク・ブッシェルを起用すると発表したのに加え、昨年インディペンデント・トロフィーを獲得したスピードワークス・モータースポーツ、トム・イングラム(トヨタ・アヴェンシス)を支えた敏腕エンジニア、ジェフ・キングストンを獲得したことも明かし、着々とチーム体制を整えている。

 その他の有力チームも、精力的にプライベートテストを開始しており、WSRでコリン・ターキントンとチャンピオンを争ったロブ・コラードの長男で、イギリスF3卒業後にドイツのADAC GTマスターズに参戦し、シュニッツァーのマシンをドライブした21歳のリッキー・コラードを招聘し、シルバーストンでBMWのアップデートモデルをテスト。

 そして2016年にWSRに所属し、惜しくもドライバーズタイトルを逃してシリーズからの早期引退を表明していたサム・トルドフがAmD Tuning.comのテストに参加し、アウディS3セダンBTCCをドライブ。2017年にオリー・ジャクソンとアント-ウォートン・エールズがドライブし、複数回のポイント獲得を記録したマシンに対し「有意義なフィードバックが得られた」と、チーム代表のショーン・オランビーも満足げな言葉を口にした。

「我々のBTCCプログラムを前進させるにあたり、優勝経験を持つドライバーにステアリングを託す機会が得られたのは本当に有難かった。そのフィードバックは素晴らしいもので、願わくば来季は彼と一緒に仕事をする機会に恵まれればと願っている」

 また、2017年にワークス復帰を果たし、前出のトム・チルトンやロブ・ハフを起用したパワー・マックス・レーシングのボクスホール・アストラBTCCには、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーでルーカス・ダンブレル・モータースポーツのホールデン・コモドアVFをドライブした17歳のアレックス・ルーロがコクピットに収まり、初の前輪駆動ツーリングカーのテストを行った。

「オーストラリアからここまで来るのは、本当に1日がかりの長い旅路だったけど、かねてからBTCCに興味を持っていて、いつかはドライブしたいと思っていたんだ」と、初テストで印象的なドライブを見せたルーロ。

「BTCCは信じられないほどコンペティティブで魅力的なシリーズだし、2018年のファーストプライオリティは、このシリーズであることは間違いない。来季は彼らとともに居られることを願っている」

 テストを担当したパワー・マックス・レーシングのチームマネージャーであるマーティン・ブロードハーストも、このティーンエイジャーの仕事ぶりを高く評価している。

「彼は非常に成熟したプロの方法で初テストに臨み、FWDのBTCCマシンのドライブに素早く適応し、速さを見せるという大成功を収めた。午後のドライトラックでも安定したペースを刻んでいて、速いペースで周回を重ねてくれた。彼は本当にいい仕事をしたと思う」

 その他、第5戦クロフト・ラウンドの多重クラッシュで、後半戦のシリーズ参戦を取りやめるほどの大怪我を負った3名のドライバー、ルーク・ダベンポート(フォード・フォーカスST/モーターベース・パフォーマンス)、ジェフ・スミス(ホンダ・シビック・タイプR/ユーロテック・レーシング)、アーロン-テイラー・スミス(MG6 GT/トリプルエイト・レースエンジニアリング)、の3名は、ダベンポートがモーターベースのTCR UK参戦プログラムに転向し、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRにスイッチ。スミスは怪我の回復が思わしくなく2018年エントリーを断念。アーロン-テイラーはGT転向を表明し、BTCCから離れる意向を示している。