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Act Against AIDS、イベントから広まるチャリティーの輪 『THE VARIETY 25』レポート

2017年12月11日 15:52  リアルサウンド

リアルサウンド

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 エイズ啓発チャリティーイベント『Act Against AIDS 2017「THE VARIETY 25」~絶好調俳優大熱唱!本物聴かせますミュージシャン!~ 』が12月1日、日本武道館にて開催された。


参考:T.M.Revolution、20年の活動支えた“歌唱力” ベスト盤優勢の中に新たな動きも?


 Act Against AIDS(略称:AAA)は、音楽業界を中心に力を合わせ展開しているエイズ啓発運動。12月1日のエイズの日に開催される同イベントは、岸谷五朗の呼びかけにより、エイズ啓発チャリティイベントとして1993年からスタート。AAAの活動は今年で26年目を迎え、「THE VARIETY」は25回目の開催となる。チャリティーイベントの収益金は、主に国内外のHIV感染者、患者への支援に役立てられるほか、啓発パンフレットやポスター、パネルとなり、全国各地の小中学校、高校、大学、専門学校、保健所などでエイズ教育や地域イベントに活用される。近年の収益金は、特定非営利活動法人「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN」を通じて、ラオスのルアンパバーンにあるラオ・フレンズ小児科病院に寄付されている。


 今年の同イベントのメインパーソナリティーを岸谷五朗、寺脇康文、三浦春馬の3人が務めるほか、高橋優、大谷亮平、柚希礼音、DearDreamといった芸能事務所アミューズの出演者を筆頭に、大貫勇輔、花澤香菜、さらに水谷千恵子、ピコ太郎、ふなっしーなど、各界で活躍するバラエティ豊かなゲストが出演した。イベント開催前の記者会見で三浦が、「今年もラオスに視察へ行かせていただき、現地スタッフとして子どもたちの笑顔を目の当たりにしました。現地で働いている人々の思いや頑張りを、コンサートを楽しんでいただきながら、今日集まっていただいたお客様に少しでも広められたらと思います」とコメントしていたように、アーティストのライブパフォーマンスや今回だけのスペシャルコラボとあわせて、AAAの活動報告やラオスの様子が紹介された。


 岸谷の感謝のメッセージと過去のイベント模様を収めた映像が会場に流れた後、トップバッターとして登場した岸谷香。プリンセス・プリンセスの「世界でいちばん熱い夏」を歌唱すると、2番から水谷千恵子も登場し大きな盛り上がりを見せた。その後も、5人組ボーイズグループのDearDream、大黒摩季、Skoop On Somebodyがパフォーマンスを披露。大黒の「Lie,.Lie,.Lie,.」では、ギラギラに輝くジャケットを着用したMCの3人がステージに現れ、大黒のバックダンサーとしてサビの振り付けを踊る一幕も。「ら・ら・ら」ではMCの3人とDearDreamが登場、会場全体での<ら・ら・ら>の大合唱が起こった。


 今回のイベントでは、アーティストのライブパフォーマンスのほか、お笑い芸人とコラボしたコントや、岸谷と寺脇が主催する地球ゴージャスによるミュージカル調のパフォーマンスなども行われた。岸谷、寺脇、三浦、ピコ太郎によるPPAP4兄弟のコントコーナーでは、MC3人がピコ太郎のコスチュームで登場。岸谷は「ピコ太郎さんがトランプ大統領に会っている大変忙しい時に、電話で『武道館に出ていただけませんか』とお願いしました。電話で今日の段取りもすべて決めました」と裏話を明かし、ピコ太郎が台本を手掛けたコント「PPAP ドラマスペシャルバージョン」が行われた。殺人事件を題材にしたサスペンス風のショートコントで、寺脇はベテラン刑事、三浦は新人刑事、岸谷が探偵役をそれぞれ担当。三浦がコミカルな演技を見せたり、岸谷が三浦を「チェリーボーイ」とイジるなど、息のあった3人のコントに終始笑い声が起こっていた。


 ジャンルを超えたコラボはもちろん、普段は音楽活動を行わない俳優の歌声を聞けるのも、同イベントの醍醐味。大谷亮平は、福山雅治の楽曲「Squall」の韓国語バージョンを歌い、しっとりとした歌声が会場を包んだ。また、三浦は、自身が主演するドラマ『オトナ高校』(テレビ朝日系)の繋がりで、同ドラマの主題歌を歌う高橋優とコラボ。「ルポルタージュ」で激しいステージを繰り広げた。また、イベントの中盤では、AAAの活動報告の場が設けられ、チャリーティーで集まった収益金の使用用途などが説明された。また、今年の9月末、ラオ・フレンズ小児科病院を視察で訪れたという三浦が、写真や映像とともに現地の様子を報告した。


 イベントも終盤に差し掛かり、岸谷、寺脇、花澤香菜、柚希礼音 による「WINDING ROAD」が綺麗なハーモニーを響かせた後、イベントのトリを務める西川貴教が4人のダンサーを連れて登場。黄色い歓声が起こる中、「WHITE BREATH」や「HOT LIMIT」などのヒットナンバーを4曲メドレーで歌唱すると、会場が揺れんばかりの盛り上がりを見せた。最後は、出演者全員と観客による「一人じゃないから」の大合唱が行われた。岸谷は「みさなんのチケット一枚一枚が大きな寄付になっています。本当にありがとうございます」、三浦は「みなさんが会場にお越しいただいた事実が、現地の技術向上、なにより子どもたちの笑顔に繋がっています」と観客への深い感謝をそれぞれ述べた。そして寺脇は、「これからもできることをできる範囲で、無理せずチャリティーをやっていきたいと思います。みなさんもお付合いくださいね」とコメント。ステージと客席に笑顔が溢れる、あたたかな空気に包まれてイベントは終了した。


 AAAのチャリティーを通して、昨年は約1286万円、過去とトータルすると約2億7937万円の収益金が集まっている。イベント前の会見で岸谷は「チャリティーでなにより大変なことは続けることです。続けられることが一番大事なことだと思います」と語っていたが、このイベントを機にチャリティーの輪が広がり、より多くの命を救う活動に繋がっていくはずだ。(泉夏音)