F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねる連載企画。今回は、弱冠20歳にしてF1歴7年のスペイン人記者ミゲル・カリカスだ。
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今年、F1では20歳のマックス・フェルスタッペンが2勝をあげて、昨年から一段と飛躍したシーズンを送った。そのフェルスタッペンに今年の日本GPでインタビューしていた若いジャーナリストがいた。
スペイン人記者のミゲル・カリカス。じつは彼もフェルスタッペンと同じ20歳の青年。現在のF1界で最も若いジャーナリストのひとりだろう。
だが、フェルスタッペンに質問していたカリカスには、フェルスタッペン同様、20歳という若さに似合わない落ち着きがあった。それは彼がこの仕事を始めたのが13歳からで、すでに7年間もF1の世界にいるからだった。
2011年に自分で『Todo F1(F1のすべて)』というウェブサイトを立ち上げたカリカス。その記事がスペインの自動車雑誌の編集長にの目に留まり、その年のイギリスGPから外部ライターとして仕事をスタートさせた。
ただし、学業との両立から最初の数年間は自宅での仕事が主で、サーキットでレースを見たこともなければ、ドライバーと直接話をしたこともなかった。
転機が訪れたのは高校に進学してから。3年間の仕事が認められたカリカスは、学校生活に余裕ができたこともあり、2014年のプレシーズンテストで編集長から現場取材を依頼される。さらに2015年はヨーロッパラウンドの3戦に編集長とともに同行取材するチャンスを得た。
ここでしっかりと実績を残したカリカスは2016年にはヨーロッパラウンド4戦を取材し、今年はついに単独での取材を任された。しかも、これまではずっとヨーロッパラウンドだけだったが、今年はカナダなどフライアウェイ戦にも行った。
日本GPもそのひとつかと思いきや、「僕にとって今年の日本GPはホームグランプリでもある」という。どういうことか?
「じつは今年の9月から日本の大学に留学に来ていて、いま日本に住んでいるんだ」
20歳のカリカスはスペインのナバーレ大学の大学生で、早稲田大学の政経学部に短期留学生として来日中なのだ。
「将来は新聞社の政治記者になりたい」というカリカス。帰国する来年の2月まで、豊島区のアパートで日本の政治と経済について勉強しながら、日本のモータースポーツについてのレポートをスペインへ発信している。