トップへ

草なぎ剛は笑顔で人々をつなぐ“トランスレーター”だ 新しい地図の活動にみる生き様

2017年12月11日 07:12  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 草なぎ剛が、ウェアラブル翻訳ツール“ili(イリー)”のイメージキャラクターに就任した。稲垣吾郎、香取慎吾と共に“新しい地図”をスタートさせて以来、“ユーチューバー草なぎ” としても活動していることから、就任発表は12月6日にYouTubeのLIVE配信で行なわれた。


(関連:香取慎吾がアートを身近なものにする 作品出展からSNSまで“現代アーティスト”としての活動を追う


 従来、新商品のイメージキャラクターの就任発表といえば、ホテルなどの豪華な会場で、 マスコミ各社の記者たちから質問が飛び交うようなもの。草なぎも、そのイメージを持ち正装で登場したのだが、通されたのはLIVE配信用のカメラ1台と、ちょっとした家具のみという簡素な会場だった。肩透かしを食らった形になった草なぎは「ちょっと~、ドッキリですか? これドッキリ(笑)?」とツッコミを入れながら、大笑い。また、ほとんど打ち合わせをせずに臨んだことが、結果として商品を取り出してすぐに使用できるシンプルな使い心地 をアピールする形に。そして何よりも草なぎのリラックスした表情が、商品の親しみやすさを印象づける就任発表となった。


 LIVE配信の後半では、“ili”の魅力を伝えるために、実際に街へと繰り出す草なぎ。多くの人で賑わう浅草で、「今日発売です!」「iliですよー」と声をかけていく姿にも人の良さがにじみ出る。そして、外国人観光客を見かけるたびに「日本はどうですか?」「 日本にどのくらいいますか?」と、“ili”を使って英語、中国語、韓国語に翻訳して話しかけるのだった。


 かつて、草なぎは“チョナン・カン”の芸名で、韓国デビューをしている。10年以上、コツコツと勉強を続けた韓国語スキルは今も衰えていないようで、韓国の方々を見つけるとテンションが上がって“ili”を使うのを、つい忘れてしまうほど会話が盛り上がる。なかには「 チョナン・カン!」と声をかけて、一緒に歌ってくれる方もいたほど。これまでの努力と実績が、 新しい挑戦に繋がっている、そんな喜びを感じる瞬間だった。


 今回の草なぎのLIVE配信から、“ili”の使い方や便利さのみならず、言葉の壁を超えてコミュニケーションを取る楽しさが伝わってきた。翻訳機を使って意思疎通ができたとき、草なぎは嬉しそうに「いいねー!」と満面の笑みを浮かべる。興奮のあまり“ili”に「Thank you」や「謝謝」などと話しかけてしまう姿も微笑ましい。そんな草なぎとふれあう観光客の方々も、気づけばみんな笑顔に。そして、このやり取りを見届けた視聴者も思わず頬が緩んだことだろう。まさに草なぎ自身が、笑顔で人々をつなぐトランスレーターなのだ。


 あらためて新しい地図の公式サイトを見返してみると、日本語だけではなく英語、フランス語、中国語、韓国語と言語をセレクトすることができる。ファンの名称は“NAKAMA”。 ローマ字表記にして世界中の人が読めるようになっているのだ。もちろん“ユーチューバー草なぎ”の動画にも、字幕をつけることも可能だ。そして2020年、東京オリンピックに向けて、草なぎ、稲垣吾郎、香取慎吾の3人はパラサポのスペシャルサポーターにも就任した。そう、彼らの視線はとっくに世界へ向いていた。


 「人生というのはもちろん転ぶことがあるんですけど、もしかしたら転んだからこそ、いいものがもらえるときもあるんだな」とは、草なぎが先日『GQ MEN OF THE YEAR 2017』でインスピレーション賞を受賞したときのコメントだ。新たな地を開拓するためには、それまでの場所から一歩踏み出す勇気がいる。仮に、転ぶことになったとしても、きっとその経験も含めてこれまでに知らなかったモノが見えるきっかけになるはず。アイデアと、愛嬌と、「バカにされたっていい」というおおらかな気持ち。それが自分と世界を繋げていくのだ。そんな道標を、草なぎ剛という男は生き様で見せてくれている。(佐藤結衣)