トップへ

星野源、『コウノドリ』第9話で新たな転機に直面 産科医の父親から学んだものとは?

2017年12月09日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 『コウノドリ』(TBS系)第2シーズンは、妊婦を中心にしたストーリーという主軸は変わらず、医師たちの悩みや葛藤もより鮮明に描かれている。第6話では下屋加江(松岡茉優)が産科を離れ救命科へと異動し、第7話では小松留美子(吉田羊)が“母親にならない人生”を覚悟。第8話では白川領(坂口健太郎)が新生児科から小児循環器科の研修を希望した。そして、物語も終盤に差し掛かった第9話では、四宮春樹(星野源)が新たな転機に直面する。


(参考:ドラマ『コウノドリ』は「生まれる」現場をどう描いたか? 現役看護師が分析


 四宮は故郷である石川県能登に帰郷し、父の晃志郎(塩見三省)と会っていた。晃志郎は街で唯一の産科医を営んでいるが、重い癌を患っていた。ペルソナに戻った四宮の元に、父が倒れたという連絡が入り、四宮は再び能登へと向かう。変わらず晃志郎は四宮に「帰れ」の一点張り。そこに早剥(常位胎盤早期剥離)の疑いのある妊婦からのコールが鳴り、晃志郎は自らの手で執刀すると言い出す。見かねた四宮は、「俺がやる」と父の代わりに緊急カイザーを行うことに。


 手術前に患者への事情説明に現れた晃志郎は、「うちの息子を信じてやってください」とペルソナ総合医療センターで働く息子を紹介し、「だから大丈夫です」と説得する。四宮を常に煙たがっていた晃志郎が、本音を見せた瞬間だ。「春樹、頼むな」という力強い父の言葉に背中を押され、四宮はオペに向かう。手術は無事成功し、四宮はベッドで休む父の元へ。街唯一の産婦人科医院は、スタッフや設備もままならないもので、四宮が行った手術も他の病院からのサポートあってのものであった。「よくここで医者続けてきたな」という四宮の言葉に、晃志郎は「ここが好きだからな」と返す。「まだまだお前には負けんぞ」と右手を差し出す晃志郎に、四宮はその手をぎゅっと握り返し、そっと微笑み返す。父は今にも涙が溢れそうだ。同じ立場としてこの先も医者を続けること、そして病気には負けないという、父親なりのつよがりも混じった息子への宣言だったのだろう。


 ペルソナに戻った四宮は鴻鳥サクラ(綾野剛)に父親からの言葉を伝える。「なんかいいね。それ羨ましいな」と返すサクラ。四宮は、過去に担当していた患者のつぼみを亡くした後悔から、ペルソナを離れ、再発を防止するための研究に専念するかどうか決めかねていた。葛藤する四宮に父の「まだまだお前には負けんぞ」という言葉が刺さる。そんな四宮の心情を察してのサクラの返答には、どこか優しさが見え隠れする。


 また、第9話ではサクラと四宮と研修医時代の倉崎恵美(松本若菜)という10年前の回想シーンが登場。ソバージュヘアーにふてくされた態度の“メタル女”・倉崎に四宮は「うわぁ……すっげえのがきたな……」とつぶやく。研修医としてはあまりにも失礼な倉崎に、四宮は「いいと思う」と優しさを見せ、表情もどこかにこやかだ。10年前、四宮はまだつぼみとは出会ってはいない。


 能登でのオペを成功させた四宮は、患者の長女から感謝の手紙をもらっていた。ペルソナの王城で手紙を読む四宮だが、彼の表情には相変わらず笑顔はない。ドラマもいよいよ最終回目前。四宮がこれから先、どのような道を選択するのか。そして、彼が再び笑顔を見せる時は来るのか。


(渡辺彰浩)