2017年限りで幕を閉じることとなったWTCC世界ツーリングカー選手権で、最後のドライバーズ・マニュファクチャラーズ両タイトルを獲得したボルボが、新設のWTCRワールド・ツーリングカー・カップに向け、初年度参戦の準備は間に合わないものの、新たにTCR規定の新型モデルの開発に着手していると報じられた。
ついにTCR規定を採用し、本家のTCRインターナショナル・シリーズと合流する形で“FIA WTCR”へと生まれ変わったWTCC。その流れを受け、ボルボもポールスター・シアン・レーシング主導でTCR規定のモデルを開発しているようだ。
ゆくゆくは、母国を中心に展開されている“ホーム・チャンピオンシップ”である、STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権にも復帰したい意向を示している。
「TCR規定は素晴らしい可能性を秘めているし、WTCRへスイッチするというシリーズの決断はとても良いことだったと思う」と語るのは、ポールスター・モータースポーツの責任者を務めるアレクサンダー・ムルドゼフスキー・シェドビン。
「TCR車両を開発するという決断は、我々が前に進む上で多くの扉を開いてくれるだろうが、同時に戦略的に前に進む上での最良の方法を考えなくてはならないことも意味する」とシェドビン。
「だからこの場でクルマの詳細や現状について、これ以上お話ができないのは、将来的にチームとともにトラックに戻ってくる日のことを想定しているからだ。2018年の初頭には、さらなる情報をリリースできることになるはずだ」
このスウェーデンを代表するマニュファクチャラーは、STCCがそれまでのTTA規定を廃し、TCR規定を導入すると決めた2016年オフシーズンから、つねにTCR車両の開発を噂されてきた。
しかし、彼らのプライオリティはWTCCを戦ったTC1車両『ボルボS60 TC1』での世界選手権タイトル獲得に置かれていることが明らかになり、2017年シーズンにようやくその目標を達成した。
新しく創設されたWTCRでは、これまでのTCRシリーズと同様にマニュファクチャラーによるワークスチームでの参戦が認められていないため、ボルボのワークスチームとしてこれまでのように“ボルボ・ポールスター・シアン・レーシング”の名のもとで活動することは不可能となる。
ただし、クリスチャン・ダールがCEOを務めるシアン・レーシングは、ポールスターが100%ボルボ傘下に入った2年前を機に、独立した組織としてポールスターから分離されており、インディペンデント・プログラムとして彼らがTCR車両をオペレーションして参戦する道は残されている。
新しいポールスター・ボルボ・TCRカーは、2018年末ごろまでは設計、開発作業に集中するものとみられ、レースデビューは早くともそれ以降と予想される。
そのニューマシンの開発テストには、2017年にツーリングカー世界王者となったテッド・ビョークと、4度の世界王者であるミスターWTCCこと、イバン・ミューラーが担当するものと見られている。