F1のモータースポーツ責任者であるロス・ブラウンは、エキサイティングなレース展開を実現するための探求を続けるなかで、トラックレイアウトに着目している。競争に影響を与えるようなレイアウト変更が必要かどうかを検討しているという。
ブラウンは、コースの性格によってホイール・トゥ・ホイールの競い合いを促す環境が異なっていると考えている。現在ブラウンのもとでは、優れたサーキットに求められる要素を洗い出すための、徹底した分析が進んでいる。
ブラウンはマシン同士がより接近して競い合えるようにするための空力研究に言及し、「空力に関する研究プログラムは進捗のペースが上がってきている」と述べる一方で、「さらにコース開発に関する作業が始まったところだ」とも語った。
「いくつかのサーキットとはすでに連携をとっており、レース充実のためのコースレイアウト変更を模索している」
ブラウンは、彼のチームとともに将来のF1像に関する答えを過去から見つけようとしていると明かした。
「過去の記録を調べ始めたところだ」
「オーバーテイクの多かった時期はいつか? オーバーテイクの多かったコースはどこか? 記録を集めれば統計的な分析ができる」
「ただ注意すべきなのは、何もオーバーテイクが良いレースを作っているわけではない、ということだ。そもそも良いレースとは何かをまず考えるべきだ。それは2台のマシンが競い合っている状態だ」
「前を走るマシンが前を走り続けていたとしても、それが素晴らしいレースにつながることもある。オーバーテイクの数だけを数えるよりは、もう少し複雑な分析が必要なのだ」
「今我々が着目しているのは、複数の異なるラインが取れるコーナーというのは、レースを面白くするうえできわめて重要だということだ」
「コース幅の狭いヘアピンは、それほど良くない。幅の広いヘアピンには複数の異なるラインから進入できるので、そこで何かを仕掛けられる」
「例えば、オースティンは複雑なコーナーを持つサーキットというカテゴリーに入ると思う」
「あるコーナーに入るときに自分のマシンがあるラインを取ることで、前を行くマシンが別のラインを取らざるを得なくなる。その結果、自分が良い位置でそのコーナーを出られるかもしれない」
「そういうレースを我々は実現させたいのだ」
ブラウンはまた、接近戦を実現するうえで路面が重要な役割を担うとも強調した。デグラデーションレベルが低いことは、接近戦にとってはしばしばネガティブな要素になるという。
「路面はレースにおいて非常に重要な要素だ。なぜなら、路面の性質によってデグラデーションが引き起こされるからだ。一定程度のタイヤのデグラデーションはレースにとって有効だ。タイヤ性能の違いが出始めるからだ」とブラウン。
「それをレースを面白くするための応急策にしたいわけではない。だが、例えばソチのようにデグラデーションが非常に小さいサーキットだと難しい。展開もワンストップ中心になる」
「タイヤの質があまり低下しないままでレースが進んでしまい、性能の差が出てこないのだ」
「今シーズンの素晴らしかったレースをいくつか振り返ってみれば良い。そこでは、デグラデーションの度合いという意味でしばしばタイヤが関係していた。例えば(キミ・)ライコネンは、彼を追いかけていたマックス(・フェルスタッペン)ほどには状態が良くないタイヤで自らのポジションを守るべく走行していた」
「路面というのは、レース展開を左右するかなり重要な要素なのだ」