FIA国際自動車連盟は、12月6日に開催されたワールド・モータースポーツ・カウンシル(WMSC)で、来季2018年から2019年にまたがる"スーパーシーズン"のカレンダーを批准すると同時に、いくつかのスポーティングレギュレーション変更も承認したが、事前に噂されていたLMP1カーの“ロードカー・ルック”への移行に関しては採決が見送られている。
既報のとおり、WECは今回のWMSCの決定においてLMP1クラスのマニュファクチャラーズ世界選手権タイトルを廃し、チーム間で世界タイトルを争うLMP1チームズ世界選手権を新たに設定することとなった。
LMP1参戦マニュファクチャラーは引き続きハイブリッドシステムを有するマシンのみでのエントリーとなるが、プライベーターに対するエンジン供給が認められ、NAの自然吸気エンジンとターボエンジンの性能調整もFIAにより公式に規定。これらのLMP1規定は今後3年間は変更なく運用される。
また、このWMSC開催前から導入が噂されていた、マニュファクチャラー製のLMP1マシンに対する"市販ロードカー・ルック"の採用に関しては、今回の議論では採決が見送られたものの、TOYOTA GAZOO Racingのテクニカル・デイレクターを務めるパスカル・バセロンや、マクラーレンのエグゼクティブディレクター、ザック・ブラウンといった人物から「大いに関心がある」「前向きな要素」との声も挙がっており、引き続きFIAとACOフランス西部自動車クラブとの間で、2020/21年シーズンへの導入に向け議論が進められるという。
WMSCの事前会合に参加したバセロンは「LMP1規定の変更は明らかに"ロードカー・ルック"の方向に向いている」と、議論の進展に前向きな展望を示した。
「その方向性はLMP1の未来に勢いを与え、新たなマニュファクチャラーの関心を呼び込むことになる。来季、少なくとも(トヨタ以外に)1社が残れば成功。そして市販車ルックの採用が確定すれば、3社以上が参戦する可能性すらあるだろう」とバセロン。
「現在の標準的なLMP1マシンでは、視覚的にメーカーの識別が難しく、マニュファクチャラーの参戦意義が見出しにくい状態であるのは事実だからね。IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップのデイトナ・プロト(DPi)車両のようなレベルか、さらにそれ以上に市販車両を模したものとするのか、細部はまだこれからになるだろう」
また、この事前会合にはマクラーレン、そしてポルシェのボードメンバーも参加したと言われており、2017年限りでLMP1のワークス活動から撤退したポルシェは、ハイブリッド機構を含むLMP1向けエンジン開発を継続しているとの噂が根強く、今回の“プライベーターへの供給可能”という規定と、将来の市販ルック導入に合わせて、異なる形で耐久シリーズに“復帰”する道を模索しているとも考えられる。
その他、すでに2018/19年"スーパーシーズン"のLMP1に向け参戦を表明しているロシアのBRエンジニアリング(SMPレーシング)のようなプライベーターは今後も続々と姿を表すとみられ、すでにプロジェクトを発表しているジネッタは、年明けのイギリス・バーミンガム、オートスポーツ・インターナショナル・ショーでニューマシンをラウンチ。さらに2017年にLMP2に転向したレベリオン・レーシングも、LMP1戦線に復帰することを検討している。