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全日本F3を戦った高星とパロウが挑んだSF初テスト。セットによりふたりは明暗

2017年12月06日 19:22  AUTOSPORT web

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走行後、ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)と笑顔で話すアレックス・パロウ
12月6日、鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権のエンジンメーカー/ルーキードライバーテストが行われたが、このテストに今季全日本F3選手権でタイトルを争った高星明誠(B-MAX Racing Team)とアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)が挑んだ。ただ、選手権の順位とはふたりの立場は逆転していた。

 今季の全日本F3選手権では、序盤戦高星とパロウが勝ち星を分け合うような展開となった。シリーズ後半には坪井翔(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)が勝利を積み重ね、最終的には高星と坪井の争いになったものの、最終的には高星がチャンピオンを獲得。坪井が2位、パロウが3位となっていた。

 そんな高星とパロウにとって、初めてのスーパーフォーミュラ経験が今回の鈴鹿テスト。高星は走行初日の午前、午後とも走行し、一方のパロウは午前は中嶋大祐がドライブ。ステアリングを引き継ぎ、午後のセッションを担当していた。

■セットアップに苦戦した高星
 F3王者として、初めてのビッグフォーミュラ経験となった高星だが、「シーズンのときとセットが違った」ため、最初からセットアップを進めることになる。走り出しはバイブレーションがひどく、「『これでは走れない』という状態」だったという。

 その後、なんとかセットアップを詰めタイムを上げたものの、午後は1分38秒364というベストタイム。トップの関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)からは2.647秒差というタイムで、「タイム差が大きかったので残念でした」とやはり悔しそうな表情を浮かべた。

「シーズンを通してB-MAX Racing Teamのマシンがパフォーマンスがあまり高くないのかな、というのは第三者の目線から観ていて分かっていたので、当然トップタイムが記録できるとは思っていなかったですけど、もう少しタイム差は縮めたかったです」と高星。

 そんな高星にとって、SF14にはどんなフィーリングを得ていたのだろうか。「トップスピードは速いとは思いませんでしたが、立ち上がりからの加速やコーナリングスピードも全然速かったです。そこの感覚をつかむのは少し苦労しましたね」と高星は言う。

「コーナーは首が少しキツかったのですが、ステアリングについてはスーパーフォーミュラはパワステがついているので、F3の方が重い。その分コーナーが速いところに対して、もっと鍛えなければと思いましたね」

■「とてもハッピー!」4番手のパロウは笑顔
 一方のパロウは、午前中にトップタイムをマークしていた中嶋大祐のマシンを引き継いだこともあり、走行開始直後から快調に周回を重ねていった。チームはこの時季のテストでの安全性も鑑みタイヤウォーマーも使用していたが、終盤までトップタイム、そして最終的には4番手となる1分36秒037を記録したのは、ルーキーとしては賞賛されるべきタイムだろう。

「素晴らしいフィーリングだったよね。とってもハッピーだよ!」とパロウは初めてのスーパーフォーミュラに笑顔が止められない様子で語ってくれた。

「午後だけしか乗ることができなくて限られた周回だったけど、信じられないほどだった。今朝はダイスケが首位だったから、クルマは速いだろうと思っていたんだ。実際そのとおりですごく速かった」

 パロウは今季全日本F3を戦ったほか、長年パロウを育成してきたカンポス・レーシングからFIA F2にも挑戦。印象的なスピードをみせている。では、FIA F2とスーパーフォーミュラの違いはどんなものなのだろうか。

「比べると、スーパーフォーミュラはスタイルとしては“ビッグF3”みたいな感じだね。ダウンフォースが大きいし、グリップがすごくある」とパロウ。

「逆に、F2はパワーがすごくあるんだ。僕にとってはスーパーフォーミュラの方が好みだったね(笑)」

 今季、ダラーラから推薦され全日本F3を戦ったパロウは、チームのアドバイザーを務めた道上龍いわく「乗ってすぐ速い」ドライバー。この日鈴鹿でもみせたように、ヨーロッパでもその存在を示している。来季の活躍の場がどこになるのか、大いに気になるところだ。