マクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は2017年F1第20戦アブダビGPを、ふたつの視点でジャッジ。
--------------------------
第7戦カナダGPを終えた時点で、入賞ゼロ。ザウバーの後塵を拝して、コンストラクターズ選手権で最下位だったことを考えれば、シーズン後半のマクラーレン・ホンダは善戦したといっていいだろう。
最終的にコンストラクターズ・ポイントはホンダが復帰した初年度の2015年の27点を3点上回るだけに終わり、選手権では再び15年と同じ9位に沈んだが、終盤戦はハートとトロロッソをしのぐスピードを披露。最終戦アブダビGPでは、予選でQ3進出を逃したものの、レースではウイリアムズをコース上でオーバーテイクする速さを見せて、3年間のマクラーレン・ホンダの戦いを締めくくった。
もちろん、ここがマクラーレンとホンダが目標としていたポジションではない。しかし、彼らは最後までプロフェッショナルに戦い続けた。
世界最高峰のモータースポーツであるF1の世界では、チームはさまざまなメーカーとパートナーを組んでレースを戦っている。さまざまな契約の中で、今日の味方が明日は敵にもなるが、昨日までの敵がいつ味方になるかはわからない。出会いも大切だが、別れ際はもっと重要だ。
レース前夜の会見でザック・ブラウンは「いつか将来、再び手を組む日が来ることがないとは言わないでおこう」と惜別の言葉をホンダに送った。
ブラウンだけではない。マクラーレンのCOOを務めるジョナサン・ニールは「われわれは多くの日本企業と仕事を継続している。日本人の素晴らしさをF1界で一番理解しているのはわれわれだ」と語った。
そして、レース後にはエリック・ブーリエ(レーシングディレクター)がこうコメントした。
「マクラーレンの全員を代表して、われわれと共に必死に働き、学習と開発、改善に努力を注ぎ続けてくれたホンダに心からの感謝を伝えたい。信じられないほどチャレンジングなシーズンだったが、アブダビでこれまでにないほどの一体感を築き、互いに尊敬を持ってパートナーシップを終えることができた。この3年間、パートナーシップに一切の悔いはない。それぞれの未来に向けて、お互いの幸運と健闘を願っている」
ホンダもそんなマクラーレンを落胆させないように、最終戦ではまったくトラブルを引き起こさなかった。じつは最終戦前にペナルティなしで使用できるストックしていたバックアップPUに問題が出ていたホンダは、もしレース用のPUに問題が発生すれば、グリッドペナルティを受けなければならなかった。それをギリギリの状況で回避したホンダ。そこには、言葉以上の感謝の念が込められていたのではないだろうか。
辛口コラムはF1速報WEBで掲載中!
マクラーレン・ホンダ辛口コラム アブダビGP編:大失敗のプロジェクトに終止符を打ち、両陣営とも安堵