12月2日に香港で開幕した2017/18年シーズンのFIAフォーミュラE選手権。このレースで電動フォーミュラデビューを飾ったアンドレ・ロッテラー(テチーター)は3日、第1戦とのダブルヘッダーとして行われた第2戦香港ePrixを13位完走で終えた。
スーパーGT、スーパーフォーミュラ、WEC世界耐久選手権など、これまでさまざまなモータースポーツカテゴリーに参戦し、その都度成功を収めてきたロッテラー。日本でもすっかりお馴染みとなっているドイツ人ドライバーが新たな挑戦の場に選んだフォーミュラEは、経験豊富なロッテラーをしても容易に攻略できるものではなかったようだ。
デビュー戦となった第1戦を予選12番手、決勝は15位でチェッカーを受けるも、後に安全性の確保するスポーティングレギュレーション違反を理由とする失格裁定を受けるまさかの展開で終えたロッテラーとチームは、翌日の第2戦に向けてマシンバランスの調整などを行なっていくが、迎えた第2戦の公式予選は前日の結果を下回る17番手に沈んでしまう。
しかし、スタートシグナルの故障によってセーフティカーランでのスタートとなった決勝では、レース序盤に直前の16番手からスタートした小林可夢偉(MS&ADアンドレッティ・フォーミュラE)をオーバーテイクするなど、持ち前のレース巧者ぶりを発揮してレース中盤までに14番手までポジションを上げていく。
さらに、マシンを乗り換えるピットインではコース上でオーバーテイクを許した2015/16年シーズン王者のセバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)を逆転。暫定11番手でコースに復帰した。
その後、ポジションをふたつ落としたロッテラーは2014/15年チャンピオンのネルソン・ピケJr.(パナソニック・ジャガー・レーシング)に追われる状況でレース終盤を迎える。このバトルは結局ピケJr.に軍配が上がり、両者はわずか0.7秒差でチェッカーを受けたが、直後にピケJr.がコース上に停車。これを避けようとしたロッテラーは最終コーナーのアウト側でマシン側面をウォールにヒット、クラッシュさせてしまった。
「ネルソン(ピケJr.)は僕らがほぼ同時にフィニッシュラインを越えたときに不運にもバッテリーを使い果たしてしまったのだと思う」とロッテラーはアクシデントを振り返った。
「彼のマシンは突然、僕の目の前でストップしたんだ。僕はネルソンを避けるためにレースラインから出なければならなかったのだけど、汚い路面ではマシンの姿勢を制御することは不可能で、まっすぐ壁に向かって行ってしまった」
「僕自身は大丈夫だけどクルマはかなり壊れてしまっていて、このクラッシュがどれくらいマシンにダメージを与えたかをチームが調べている最中だ」
終始苦しい展開となったデビューラウンドの香港戦については「なんて厳しい洗礼なんだろうね。新しいシリーズに挑戦することはいつも簡単ではないけれど、フォーミュラEほどのものは経験したことがないよ」とコメント。
「前のマシンを追い越そうとすると、その隙を狙って後ろのドライバーがすぐに仕掛けてくるんだ。しかし、僕もこの週末に非常にたくさんのこと学ぶことができたし、ウイークエンドを通じてコクピットのなかでフルレースを戦えたことで、とても良いフィーリングを得られた」
開発の面では「まだまだ見つけるべきことがたくさんあるよ」とロッテラー。
「結果を出すためには良い予選順位も必要だね。昨日の開幕戦では12番手とまあまあ良いスタート位置だったけど、今日はセクター3でタイムを伸ばせなかった。それでも、僕は週末を通して良好なペースを保てたと思うし、エネルギー使用値のターゲットもクリアできたから、その点に関してはポジティブに捉えているよ」
2019/20年に予定されているポルシェのワークス参戦に先行するカタチでWECの僚友、ニール・ジャニ(ドラゴン・レーシング)とともに今季からフォーミュラEにフル参戦しているロッテラー。日本のモータースポーツファンも活躍を期待しているスーパGT、スーパーフォーミュラ、WEC“チャンプ”の次なる戦いの舞台は2018年1月13日(土)に開催される第3戦マラケシュePrix(モロッコ)だ。