FIAフォーミュラE選手権は12月3日、香港のストリートコースで第2戦の決勝レースが行われ、ダニエル・アプト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)が参戦4年目にして自身初の優勝を飾った。香港の2ラウンドにスポット参戦している小林可夢偉(MS&ADアンドレッティ・フォーミュラE)は18位で2戦目のフォーミュラEを終えた。
サム・バード(DSヴァージン・レーシング)の劇的逆転勝利から一夜明けた3日、ダブルヘッダーで行われている2017/18年のフォーミュラE香港ラウンドは第2戦を迎えた。
現地時間15時過ぎ、スタート予定を迎えた決勝レースだったが、コースの信号機トラブルによってスタートが数分間ディレイに。レースはその後、急遽セーフティカー(SC)先導でスタートが切られていく。
1周のSCランののち2周目からレース開始。事前の公式予選でポールポジションを奪ったフェリックス・ローゼンクビストが好スタートを切ったかに見えたが、1コーナーで単独スピン。幸い大きな混乱なくレースは続行されたが、ローゼンクビストは首位からトップ10圏外まで順位を落としてしまった。
代わってトップに立ったのは2番手グリッドからスタートしたエドアルド・モルタラ(ベンチュリ・フォーミュラEチーム)。これにアプト、ミッチ・エバンス(パナソニック・ジャガー・レーシング)、アレックス・リン(DSヴァージン・レーシング)が予選順位どおりに続いていくなかで、5周目にアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(MS&ADアンドレッティ・フォーミュラE)が、リンを捉えて4番手に順位を上げる。
後方では予選4番手を獲得しながら、前日の第1戦でのピットストップが危険行為とみなされ10グリッド降格ペナルティを課せられたバードが4周目にニコラス・プロスト(ルノー・e.ダムス)を交わして9番手に浮上。
また、可夢偉、アンドレ・ロッテラー(テチーター)という日本のファンから大きな期待を受けるフォーミュラEルーキーたちも14番手、15番手と予選順位からそれぞれふたつずつポジションを上げることに成功した。
レース中盤、10周目時点では約1.5秒間隔となっていたトップ集団が次第にばらけはじめ、首位を走るモルタラに対して2番手につけるアプトが2.4秒、3番手のエバンス以下は8秒以上という大きなギャップができていく。
45周で争われるレースの折り返しが近づいた22周目、最後尾スタートから15番手までポジションを上げてきたセバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)を先頭に各チームが続々とピットイン。
トップ3は翌周に同時ピットインを敢行するが、順位は変わらず。また、1周長くコースに留まりオーバーカットを狙ったダ・コスタとリンも表彰台圏内でコースに戻ることは叶わなかった。
一方、このタイミングで大きく順位を上げてきたのが、スタート直後のスピンで10番手以下まで順位を落としながらも、驚異的なペースで7番手まで巻き返してきたローゼンクビスト。見た目上の6番手でいち早くピットインしたローゼンクビストは、全車がルーティンピットを終えた26周時点で3番手に急浮上。トップからは約12秒遅れながらも表彰台圏内に復帰してみせる。
その後、レースはモルタラとアプトのトップ2台が約3秒のギャップを維持し続ける膠着状態が続くが、チェッカーまで残り10周を切った37周目、アプトがペースを上げモルタラとのギャップを3秒から2.1秒に。40周目には1.6秒に縮めていく。
これに対してモルタラも41周目に自己ベストタイムで応戦、ギャップを2.5秒に広げた。しかし、デビュー2戦目での優勝まで残り2周となった43周目、追撃の手を緩めないアプトがファンブーストを使って追い上げに出た直後の2コーナーで、モルタラがまさかの単独スピン。
これで労せずトップに立ったアプトが残り2周を危なげなく走りきってトップチェッカー。12月3日、自身25回目の誕生日をフォーミュラE初優勝という最高の結果で祝福した。2位にはレース後半も好ペースを披露したローゼンクビストが入り、1周目から快走を続けていたモルタラが悔しい3位フィニッシュとなっている。
※レース後、トップでゴールしたアプトの車両に規定違反が発覚し、失格処分が下された。レース後の車検で、 インバーターとモータージェネレーターユニット(MGU)のセキュリティステッカーに付いているバーコードが、登録済みのそれと異なっていることが確認されたため。しかしチームは規則上認められている異議申し立てをしたため、最終決定は持ち越されることになった。
開幕戦に続き今戦でも全体の20パーセントを占める得票率でファンブーストを獲得した可夢偉は、36周目にブーストを使って自己ベストタイムをマークするも、ピットでの作業でトラブルがあって大きくタイムロスしたこともあり、リザルトは1周遅れの18位完走。
可夢偉のひとつ後ろ、17番手グリッドからスタートしたロッテラーはレース序盤に可夢偉をオーバーテイクし、12番手まで順位をあげたもののファイナルラップの最終コーナーでクラッシュするなど、不本意な形で最終的に13位でチェッカーを受けた。
週末の2レースそれぞれがドラマチックな結末を迎えた2017/18年のフォーミュラE。次戦は2018年1月13日(土)、モロッコ・マラケシュで第3戦が行われる。